大島商船高等専門学校いじめ自殺事件

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山口県周防大島町の大島商船高等専門学校で2016年5月、当時1年の男子学生が同級生からいじめを受けて自殺した事件。

経過

被害学生Aさんは、2016年度に同校に入学した。しかし入学直後から、同級生グループから話し方を真似させる、からかわれる、不快なあだ名を付けられるなどのいじめを受けるようになった。

同校では学生寮を設置していた。被害学生は寮に入寮していて、いじめが継続的に続く状態になっていた。2016年5月には学生寮の部屋割りが変わり、別の男子学生Bさんと同室になった。

部屋割りが変わった日、加害者グループはAさんの自室の机に、Aさんが不在の隙を見計らって性的な内容の雑誌を入れる行為をおこなった。当該雑誌は別の第三者の学生所有のものを加害者グループが盗んだ形で、Aさんに窃盗の濡れ衣を着せるなどの悪質な嫌がらせ目的だった。雑誌を見つけたAさんは怒り、窓の外に雑誌を投げ捨てた。

BさんはAさんに対して、自身はAさんへのいじめには関与していなかったものの、加害者グループのいじめに気づけなかったことを詫びたという。

その事件のあった翌日未明、Aさんは校舎から飛び降り自殺した。

加害者グループは別の学生へのいじめも

Aさんの死後、加害者グループは「BさんがAさんを自殺に追い込んだ首謀者」扱いして自分たちの非をなすりつけ、Bさんにいじめの標的を移した。Bさんへは、写真を隠し撮りして笑いものにする、暴行を加える、寮のBさんの部屋を荒らすなどのいじめがあったとされる。Bさんはその後適応障害を発症した。

第三者委員会での調査

学校側は「いじめはなかった」とした。しかし遺族の要望を受け、同校は2018年3月に第三者委員会を設置して調査をおこなった。第三者委員会では「いじめが自殺の要因になった」とは指摘したものの、調査内容が十分ではないとして、改めて第三者委員会を設置して再調査がおこなわれた。

改めて設置された第三者委員会は2021年9月17日、自殺した学生への「悪口を振りまかれる」「性的な内容の本を机に入れられる」など計22件のいじめを認定し、いじめが自殺の原因となったとする調査報告書を出した。また学校側の対応が十分ではなかったことについても指摘した。

学校側は2021年9月24日付で、加害学生を戒告処分にした。処分は学生の卒業直前になった。

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