名古屋市立南養護学校「体罰」訴訟

名古屋市立南養護学校で1988年、中度の知的障害を持つ生徒が「体罰」の被害を訴えたが、学校側は暴行を否定。知的障害児の証言の信用性が争われた訴訟。

事実経過

愛知県名古屋市熱田区の名古屋市立南養護学校高等部2年だった男子生徒は1988年9月22日、学年主任の男性教諭から別室に連れ出された。生徒は中度の知的障害を持っている。

生徒側の主張によると「別室で教諭は、生徒の右目を指で強く押すなどの暴行を加えた。教諭の暴行が原因で、生徒は全治3週間のけがを負った」という。生徒はその後不登校になった。 生徒が保護者に被害を訴え、暴行が発覚した。

その一方で加害者とされた教諭や学校側は、教諭が生徒を別室に連れて行ったことは認めたものの、「落ち着かせるための個別指導だった」「生徒間のプロレスごっこでけがをした可能性が高い」などとして暴行を否定した。

被害者は1989年7月、名古屋市などを相手取って名古屋地裁に提訴した。一方で名古屋市教委は教諭の暴行を否定し続け、被害者の被害訴えについても「知的障害者の証言は信用できない」などと主張した。

名古屋地裁は1993年6月21日、「体罰」を認めて名古屋市に30万円の損害賠償を命じる判決を下した。判決では被害生徒の証言の信用性や一貫性を認め、また「自己の体験に基づく具体的事実記憶を長期間にわたって保存することは十分に可能」と指摘した。 しかし名古屋市は一審判決を不服として控訴した。

名古屋高裁は1995年11月27日、一審判決を取り消して原告側の請求を棄却する逆転判決を下した。高裁判決では、暴行を受けたという被害者の証言について「弁護士や母親の影響によるもの」などとする判決を下している。被害者側は最高裁に上告した。

最高裁は1999年11月9日、二審名古屋高裁判決を支持して上告を棄却する判決を出した。

被害者の支援団体は判決確定後の1999年11月、名古屋市教委に対して「事実をねじ曲げて悔い改めようとしない」などと厳しく批判する声明を出している。