東京都目黒区立鷹番小学校「体罰」訴訟

東京都目黒区立鷹番小学校で1996年、1年生の児童が担任教諭からの「体罰」でケガをした事件。またこの事件に関連して、加害教諭が担任を外れたことに逆恨みした同じクラスの一部保護者が、被害児童と保護者を中傷し、不登校や転校に追い込んだ。「体罰」や一部保護者からの中傷に対して、被害児童の保護者が民事提訴した。

事件概要

目黒区立鷹番小学校で1996年度に1年生を担任していた女性教諭(57)は、担当クラスの男子児童に対して日常的に暴行を繰り返していた。

教諭は児童に対して、給食の皿で頭を殴るなどしていた。また1996年7月には、教室内にあった荷物つり下げ用のフックで児童の腕を引っかいてけがをさせた。

フック事件について学校側は、「男児がフックで遊んでいたために、教諭がフックの危険性を教えようと注意して腕にあてたところ、男児が動いたために傷が付いた」と釈明したという。

保護者の苦情を受けて、学校側は1996年2学期から担任を交代させた。

一部保護者が逆恨みして被害児童と保護者を中傷

しかし一部保護者が「暴行を訴えた児童と保護者が、担任教諭を更迭させた」と逆恨みし、教諭の復帰嘆願を求める署名運動をおこなった。

署名運動の際、署名運動の中心となった保護者が、被害児童の保護者にも署名を強要しようとした。

さらに同級生の保護者数名は、被害児童の保護者に対して「お宅のお子さんのせいで先生が復帰できない」「事件は愛のムチ。ありがたく思え」「この町に住めなくしてやる」などと暴言・中傷発言をおこなった。

事件をきっかけに児童は不登校となり、翌1997年には転校を余儀なくされた。

「体罰」と中傷に対する民事訴訟

被害児童と保護者は1997年5月8日、東京都・目黒区と元担任教諭個人、また中傷を中心となっておこなった同級生の保護者2人を相手取って民事訴訟を起こした。

同級生の保護者は、被害児童や保護者から「中傷」と指摘された行為について、「担任教諭は病気休職すると聞いた。病気が治ったら担任に復帰してほしいという思いで署名活動をおこなっただけ」などとして、中傷を否定したという。

東京地裁は2001年3月、事実関係については学校側の主張をおおむね採用しながらも、教諭の行為を「体罰ともとられかねない不適切指導」と指摘して教諭の責任を認め、目黒区と東京都に対して損害賠償約50万円の支払いを命じる判決を出した。一方で、他の保護者から被害児童と保護者に対する中傷があったという訴えについては退けられた。