千葉県松戸市立常盤平第一小学校いじめ事件

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千葉県松戸市立常盤平第一小学校で2016年5月、いじめ被害に遭った4年男子児童がいじめに抵抗したことに対して、担任教諭や教頭がいじめを不問にして「暴力を振るった」などと児童を一方的になじり、また担任教諭がいじめ加害者に「やり返していい」などと被害者を殴るようあおると受け取れる発言をおこなうなどした事件。その際に教師がいじめ被害者を押さえつけ、加害者が被害者を殴った。被害者は不登校になった。

事件の様子が録音されていてインターネット上に公開されたことが明らかになり、松戸市教育委員会は2019年2月に「担任教諭や教頭の不適切発言があった」ことを認めた。

事件の経過

事件は2016年5月24日に発生した。

当時4年生だった男子児童Xは、普段から別の男子児童Yなど複数の児童からいじめを受けていた。その日もYに暴力を振るわれて、Xが抵抗した。

しかしXが抵抗した様子を見た担任の女性教諭(30代)は、Yの暴力や、Xの抵抗に逆上したYが教室の机をなぎ倒すなどしたことを放置し、「Xが一方的に暴力を振るった」扱いでXを床に押さえつけ、Yに対して「やり返していい」などと発言した。Yは、担任教諭に体を押さえつけられて抵抗できない状態のXの腹を殴るなどした。

Xが「先にYからたたかれた」といじめ被害を訴えると、担任教諭は「そうだよ」とそのことを認識していると受け取れるような発言をおこなった。

しかし担任教諭はXに対して、すぐ前にYに対しておこなった発言とは全く相反する「やられてもやり返さないのが学校のルール」などと一方的な発言をおこない、Yのいじめを不問にしてXを恫喝した。その矛盾をXから指摘された担任教諭は、すぐ直前に発言したことにもかかわらず「Yにやり返せとは言ってない」と嘘をつき、「やられたからやり返すと主張してやり返したのはXだ。学校のルールを破ったのはXだ」と言い訳して責任転嫁しながら、さらに恫喝を重ねた。

加害児童Yは、担任教諭に促されてXの腹を殴ったことについて「今度はもっと本気を出して殴る」などと吐き捨てた。Yは、担任教諭のXへの対応をにやついた様子で見ていたとも指摘されている。

その間に別の児童が職員室に他の教師を呼びに行き、男性教頭・Kが教室に駆けつけた。教頭は担任教諭に加勢するような形で「Xが一方的に暴力を振るった」扱いで「暴力を振るうような者は学校から出て行け」などと怒鳴りつけた。Xがいじめ被害を訴えても聞く耳を持たず、Yの暴力やいじめを不問にして、Xに対して「ここは法律の国だ。いじめにやり返すのは暴力だ」などと一方的に吊し上げる対応を取った。教頭はその際「お前は嫌われている」「ヤクザに話を聞いてもらおうか」「日本は法律の国だ。警察に逮捕されるぞ」などといった発言もおこなった。

教頭はYにも事情を聴き、Yは自分が先に殴ったことを認めた。しかし教頭はYに対しては暴力やいじめ行為を注意せず、すぐにXに矛先を向け、Xのみを一方的に攻撃した。

児童Xはその後不登校になった。

児童Xの両親はこの事件以前から児童の異変に気付き、学校でのいじめを疑ってボイスレコーダーを持参させていたという。ボイスレコーダーに、児童Yの暴力と教師らのいじめ加勢発言の一部始終が録音されていた。

児童Xの保護者は学校側に抗議したが、学校側はこの日の件については教育委員会への報告を怠って放置していた。また児童の不登校については、学校側は「家庭の事情」と報告していた。

被害者側は2019年2月になり、インターネット上で録音音声を公開した。

事件が報じられる

松戸市教育委員会は2019年2月15日、「市内の小学校で、児童間のトラブルの仲裁の際に教諭が片方の児童に対して相手の児童を殴るよう促していると取れるような不適切発言があり、教諭の発言を受けて児童が相手の児童を殴った。殴られた児童が不登校になっている」という形で、指摘された事案があったことを公表した。市教委がこの事案を把握したのは、ネットに音声が公開された直後の2019年2月4日だったとしている。

この事件は複数のマスコミで報道された。児童は2019年2月時点でも不登校状態が続いているという。

市教委はネット上の音声について「前後の文脈などについては一部編集されている可能性がある」としたものの、録音されていた担任教諭と教頭の発言については「本人のもので間違いない。不適切発言」だとした。

2019年2月時点では、担任だった女性教諭は引き続き同じ学校に勤務し、また男性教頭は2018年度より柏市立田中北小学校教頭として転任しているという。

背景に人種差別的いじめ?

被害者側によると、暴言を受ける・暴力を受けるなど、児童へのいじめは日常的におこなわれていたという。被害児童が外国人とのハーフだったことで、「××人、死ね」などといった暴言など、人種差別的な内容も含まれていたとされる。

さらに担任の女性教諭も普段から、いじめを知りながら注意するどころか、逆に教諭が率先してこの児童をたたくなどしていたともされている。

事件当日の「日本は法律の国だ」と強調している教頭の発言についても、通常は児童に対して「日本は」などと持ち出しての発言はしないのではないか、被害児童がハーフだからわざわざ言い立てた人種差別的なものではないかと、一部マスコミでは疑問が呈された。

第三者委員会の判断

事件を把握した松戸市教育委員会は2019年4月、いじめによる重大事態を判断し、第三者委員会を設置して調査にあたった。関係者への聴き取りをおこなったものの、被害児童Xや保護者に対して直接話を聞けなかったなどとして、児童間のいじめの有無について事実関係がはっきりしない・判断ができないとする結論を出した。調査結果は2020年2月18日に明らかにされた。

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