静岡市立中学校の教諭が特定の生徒に対して障害者差別的ないじめ行為を繰り返し、2005年3月のこの生徒の卒業時には「厄介者」を意味する英語圏のことわざの「黒い羊」と寄せ書きをした問題。
経過
静岡市立中学校に2002年度に入学した女子生徒は、「家族に障害者がいる」として1年次の担任の男性教諭からいじめを受けるようになった。教諭はこの生徒に暴行を加え、また担任クラスの生徒に「あいつは障害者だからつきあうな」などと悪口を吹聴するなどした。
教諭のいじめが原因で、生徒は一時不登校になった。その後登校できるようになったものの、卒業の2005年3月まで別室登校を余儀なくされた。
卒業直前の2005年3月、教諭はこの女子生徒の卒業アルバムに「There is a black sheep in every flock.」(直訳:どこの群れにも黒い羊は一匹はいる)と書いた。この英文は英語圏のことわざで、「厄介者はどこにでもいるものだ」ということを意味する。
女子生徒は最初、この英文の意味がわからなかったという。しかし保護者が英文のことわざの意味に気づいた。生徒と家族が寄せ書きの件について学校に抗議し、静岡市教育委員会は2005年5月に教諭を文書訓告処分にした。教諭はその直後に依願退職した。
生徒は2006年、静岡市を相手取り民事提訴。静岡市は当初、「黒い羊」書き込みなどは認めたものの、生徒側の主張の一部について争った。
その後2008年3月、市が謝罪するなどの内容で和解がまとまった。しかし当事者の教諭は生徒側への謝罪などは一切せず、また静岡市が「事実関係を詳しく聞きたい」と接触を図っても拒否したという。