兵庫県宝塚市立中学校いじめ自殺事件

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兵庫県宝塚市立中学校2年だった女子生徒が2016年、いじめを苦にして自殺した事件。

経過

女子生徒は2016年12月8日午前8時過ぎ、自宅マンションの外階段から飛び降り自殺した。転落の瞬間を見た目撃者が通報し、病院に搬送されたが約3時間後に死亡が確認された。

生徒の持っていたカバンからは、自殺をほのめかすメモが見つかった。

生徒の自殺から1週間前にあたる2016年12月1日に、同級生が学校側に対して「この生徒が交友関係で困っているようだ」と情報を寄せていたことが指摘された。しかし学校側は当初「いじめは確認できていない」とする見解を示していた。

生徒はバレーボール部に所属していたが、部内でのいじめが指摘された。女子生徒は日記に部内での人間関係の悩みを綴り、死亡前日の日付で「もう死ぬ。生きる意味がない」と記載していた。

第三者委員会での調査

宝塚市教育委員会は2016年12月28日に第三者委員会を発足させて調査をおこなった。

2018年7月23日、部活動でのいじめ4件を認定した調査報告書がまとまった。

しかし遺族側はこの調査報告書について「事実誤認や疑義がある」「生徒が残していたノートの記述についての分析がないことや、クラス内でのいじめへの分析が十分ではないことなど、調査が不十分」と指摘した。調査委員会では2018年10月1日付で「いじめ以外に自殺の原因が見当たらない」と追記する形で、報告書の一部改訂をおこなった。

調査報告書は当初版・改訂版ともに非公開とされていたものの、2018年10月11日のマスコミ報道により、調査報告書の存在と、一部改訂の経過が指摘された。

第三者委員会は2018年10月16日、当該案件についていじめ4件を認定し自殺との因果関係も認めたとする発表をおこなった。改訂については、第三者委員会が主体的におこなったと発表した。

しかし第三者委員会の発表に対して遺族側は、2日後の2018年10月18日付で、「調査報告書には事実誤認があった」「改訂は遺族側の申し入れによるもの。第三者委員会の発表は事実ではない」と抗議声明を出した。

遺族側は再調査を要望した。宝塚市は2019年4月26日、市の附属機関「子どもの権利サポート委員会」のもとで、再調査のための調査委員会を設置する意向を明らかにした。

新たに設置された再調査委員会では2020年6月22日、部活動や学級でのいじめ25件を認定し、「いじめと自死に強い関連性がある」とする再調査報告書をまとめた。

生徒は2016年9月頃から、「部活動やクラス内で、複数の同級生から無視される」「悪口を振りまかれる」「バレーボール部の練習中にボールを故意に集中的にぶつけられる」「部活動で誰も練習のペアにならない」「LINEで暴言を受ける」「LINEグループから外される」「自殺前日、生徒が部活動の同級生に宛てた謝罪の手紙をくしゃくしゃに丸められて罵倒される」などのいじめを受けていたとされる。

学校側は、自殺した女子生徒について、同級生からいじめをうかがわせるような情報提供をしばしば受けていながら放置していたことは「指導放棄」にあたると指摘した。

背後には、部活動でいじめが横行していたことについても触れた。生徒の自殺から1年前にあたる2015年度、部活動の中で、自殺した生徒への加害グループとも重なる複数の生徒が、別の女子生徒に対していじめをおこないこの生徒が不登校に追い込まれていたことなど、部内での別の生徒へのいじめ22件についても指摘した。当該の部活動では、いつも誰かがいじめの標的になっているような状態だったとされる。しかし学校側は適切な対策をとらなかったことで、「2年進級後に被害生徒にいじめの矛先が向く形になり、生徒の自殺につながった」「学校として対応していれば、生徒の自殺は避けられた可能性がある」とも指摘した。

2015年度の別の生徒へのいじめ事案は、市教委にも報告されていたものの、市教委の専門家チームが2015年度のいじめについて重大事案の認定を見送ったと指摘された。さらには認定を見送った関係者が、女子生徒の自殺案件で当初の第三者委員会委員に就任したとも指摘された。