横浜市立小学校の教諭が2020年度、担任クラスの特定の児童にいじめ・虐待行為を繰り返した事件。
事件の経過
横浜市旭区の横浜市立小学校に勤務していた男性教諭・N(40代)は、2020年度に4年のクラス担任を受け持った。
しかし同教諭は、クラスの特定の児童を標的にしていじめ行為を繰り返した。
教諭は、一人の女子児童に対して「授業で使う課題や、学校だより・時間割などのプリントなどの配布物を、わざとこの児童にだけ渡さない」「学校備品のタブレット端末を使用する授業の際、この児童には端末を使わせない」「この児童の給食のおかずをわざと一口程度の極端に少なく盛るように、給食当番の児童に指示する」などの行為を、長期にわたって繰り返した。また、「学校行事の役割分担について、この児童にだけわざと役割を与えない」「この児童を授業中に教室外に連れ出して長時間叱責する。廊下に閉め出して教室の内側から鍵をかけて入れないようにする」などの行為もあった。
この児童は2021年2月、教師からのいじめ被害を家族に打ち明けた。児童は教室に入れない状態となり、保健室登校を余儀なくされた。
家族がすぐに学校に問い合わせたが、学校側は十分な調査をしないままとなっていた。校長や、児童支援専任担当の教員などは「大したことではない」扱いで対応したとも指摘されている。
保護者が2021年3月、横浜市教育委員会にそれまでの事実経過を訴え、当該教諭の処分を求めた。しかし横浜市教委は「いじめ防止法では、加害者が児童・生徒であることを想定している。『教師が加害者となる児童・生徒いじめ』は想定していない」などとして、教諭の異動や処分などはできないという対応だった。
2021年6月になり、学校側が当該事案の保護者説明会をおこなった。その際に、別の児童の保護者からも「自分の子どもも同じような被害に遭った」「子どもの同級生が同じような被害に遭ったと聞いた」などの発言が寄せられた。
当該教諭は2021年4月以降も引き続き同じ学校に勤務し、4月以降は個別支援学級の担当となっていた。同年6月以降は学校現場から外れ、教育委員会事務所に出勤して校務をおこなっていた。
2021年7月、当該事案が週刊誌で報じられた。
横浜市教育委員会は2021年9月に第三者委員会を設置して調査をおこなった。調査に対して教諭は、指摘された事案の一部については否定したものの、一部を認め、「特定の児童を叱ることで、ほかの児童への抑止の効果があると考えていた」と話したとされる。
第三者委員会の調査報告書では、被害を訴えた女子児童も含めて計4人の児童に同様の行為をしたと認定したうえで、教諭の行為を「心理的虐待、いじめに類する行為」と指摘した。
横浜市教育委員会は2022年3月25日、教諭を懲戒免職処分にした。また同日付で、対応が十分ではなく校務を怠ったとして、校長も減給10分の1・1ヶ月の懲戒処分にした。