大阪市立小学校いじめ自殺事件(2019年)

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大阪市立小学校5年の女子児童が2019年9月に自殺し、いじめを受けていたことを示唆するようなメモが見つかった事件。

経過

大阪市立小学校5年の女子児童は2019年9月24日、自宅マンションのベランダから飛び降りて死亡した。

児童は「学校で死ねって言われた。自分死んだって誰も悲しまない」などと記したメモを残していた。

児童は当日は体調不良を訴えて学校を欠席した。当日朝、児童の学習机の上に置かれていたメモを母親が発見した。母親はメモを写真撮影し、出勤途中に学校に立ち寄り、欠席の連絡とともに担任(30代男性教諭)にメモの存在と内容を伝えた。しかし担任は管理職などと情報共有しなかったという。

母親はメモの内容が気になり、昼休みに職場から帰宅して児童と過ごした。しかし児童は、一人になった同日午後2時半頃に自宅マンションから飛び降りて死亡した。メモは児童が着ていた衣服のポケットの中にあった。

大阪市教育委員会は児童の自殺を「重大事態」と認定し、学校側は同学年の児童にアンケート調査をおこなうなどした。アンケートでは、この児童へのいじめをうかがわせるような訴えがあったともされる。

第三者委員会

大阪市教委は2020年1月、「いじめが疑われるものの、証言は噂レベルのものにとどまっていて、内容がはっきりしない」などとして、学校・市教委としての調査を打ち切る意向を家族側に通知し、第三者委員会の設置を打診した。

この時点では第三者委員会設置の同意は得られなかった。家族側は、外部の人が聴き取りをおこなうことで同級生児童の負担になるのではないかと不安視していることや、きょうだいが同じ学校に通っていることなどをあげて「児童のことをよく知っている教師が聴き取った方がいいのではないか」として、引き続き学校側での調査を求める意向を伝えたという。

2020年3月12日、家族側と大阪市教育委員会がそれぞれ記者会見して、自殺事案があったことを公表した。大阪市教委は「いじめが疑われるものの、断定するだけの根拠がない」とする見解を示した上で、「学校による調査を継続する」という意向を示した。

その後2020年10月になり、家族側から「客観的な視点で調査してほしい」と第三者設置委員会の設置に同意する申し出があった。その申し出を受け、大阪市教育委員会は第三者委員会を設置することにした。

第三者委員会は2022年4月27日、▼同級生らの「死ね」という発言。▼貸したものを返してもらえない。▼同級生からの苦痛を感じる言動。など児童へのいじめに該当する言動が計8件あったと認定する報告書をまとめ、大阪市教育委員会に提出した。自殺との因果関係については、一定の影響が認められるとしたものの、「集団生活の負担」や、学校の対応不足による孤立化がより影響した可能性があると判断した。

大阪市教育委員会は2022年7月29日付で、第三者委員会調査報告書を受けた対応の検討内容と、当時の関係教職員への処分を公表した。▼「学校でのいじめ防止・対応の校内体制づくりや、自殺事案発生後の対応が不十分だった」として、当時の校長(2022年度時点では再任用の教諭)を文書訓告。▼「いじめの可能性に気づきながら見落とし、管理職への報告を怠った」として、担任だった教諭を学校長指導。▼「自殺事案発生後、学校への援助対応が十分ではなかった」として、当時の市教委事務局の担当課長を事務局指導。

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