川崎市立桜本小学校「体罰死」事件

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神奈川県川崎市川崎区の川崎市立桜本小学校(現在は川崎市立さくら小学校に統合)で1987年、養護学級担任教諭が頭蓋骨に障害を持つ児童の頭を殴り死亡させた事件。教諭には実刑判決が確定。

事件経過

川崎市立桜本小学校で養護学級を担任していた男性教諭・M(当時33歳)は1987年1月17日午前11時45分頃、受け持ちクラスの国語の授業で、児童に書き初めを指導していた。

しかし2年生の男子児童が指示に従わなかったとして激怒し、Mはこの男子児童の頭をこぶしで数発殴りつけた。児童は帰宅後頭痛を訴えて病院を受診したが、翌日1987年1月18日に硬膜外血腫で死亡した。

死亡した児童は頭蓋骨狭窄症の障害を持ち、生後6ヶ月の時に外科手術を受けていた。児童が頭蓋骨に障害を持っていて頭が変形していたことは外見からも一目でわかるほどで、「頭部をたたくなど、頭に衝撃を与えるようなことはしないでほしい」とかねてから保護者が注意を申し入れ、教育活動の中で配慮するよう依頼していた。

川崎市教育委員会は1987年2月10日、Mを懲戒免職処分にした。

Mは傷害致死容疑で逮捕・起訴され、1987年8月26日に横浜地裁川崎支部で懲役3年(求刑懲役5年)の実刑判決が下った。地裁判決によると、Mの行為は教育的懲戒とは無縁で私的感情に基づいた暴行として、酌量の余地はないとした。また抵抗できない児童・しかも普通の児童以上に強い危険性を伴う障害児を殴ったことは悪質といわざると得ないとも指摘している。

Mは判決を不服として控訴した。二審東京地裁では原判決を破棄し、被告が教育熱心だったと判断して情状酌量をおこない、懲役2年の実刑に軽減した。二審判決を受けて最高裁への上告がおこなわれたが、最高裁第一小法廷は1988年11月までに上告を棄却し、懲役2年の実刑が確定した。

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