新潟県新潟市の市立小学校で2004年度、3年生を担任していた教諭3人が、児童を教室から追い出すなどいじめ同然の「指導」を繰り返していた問題。
事件の経過
新潟市立小学校で2005年3月7日午前、3年生を担任する女性教諭A(30代)は、受け持ちのクラスの男子児童が「課題を提出しなかった」として、「学習できない子はほかの組に行きなさい」などと言って、男子児童を机といすごと教室からたたき出した。この際、教諭はほかの児童に対し、男子児童をたたき出すように指示した。
たたき出された先の、別のクラスを担任する男性教諭B(20代)も「ニワトリみたいに3歩歩いて忘れるようではだめだ」などと男子児童に対して暴言を吐いた。
男子児童は給食の時間になると、さらに別のクラスに移された。そのクラスの担任で学年主任の女性教諭C(40代)からは「あなたは別のクラスなので、1人で食べなさい」と言われ、男児は教室内で1人で給食を食べたという。
その翌日の3月8日にも、担任の女性教諭Aは、男子児童をクラスから排除し、生活科室に隔離した。その際、担任教諭は同級生数名に命じ、男子児童の体をつかんでむりやり生活科室に連行させた。
これらの仕打ちにショックを受けて体調を崩した男子児童は、その翌日の3月9日から不登校状態になった。その後医師から「急性ストレス障害」と診断された。
男子児童の保護者は3月14日に学校に抗議し、学校側は事態を把握。校長は謝罪したが、加害教諭3人は、2005年度にも同じ学校で学級担任を続けた。
日常的ないじめ行為
男子児童の保護者は、この事件は「教諭からの嫌がらせのほんの一角に過ぎない」と訴えた。
保護者によると、2004年夏頃から男子児童の様子がおかしくなり始めた。保護者が理由を尋ねると「先生から『大バカ野郎』『脳みそなし人間』と言われた」などと話し、ほかの児童からも教師のまねをしていじめを受けていることを打ち明けた。
また、2005年2月下旬の参観日に母親が教室に入ると、「4年生になれない子」として数人の児童の名前が黒板に書かれ、その中に男児の名前も含まれていた。
校長は事件に関して、事実関係を認めたという。
学校側は2005年5月2日までに、「3年生のほかの2クラスでも、3人の児童に対して計4件、同様に教室から追い出す罰を与えていた」と明らかにし、全校児童の保護者に対して謝罪文書を配布した。
教育委員会の対応
新潟市教育委員会は2005年5月6日、新潟市議会の文教経済委員協議会で、この事件に関する報告をおこなった。その席上、新潟市教委は、男子児童に対して担任教諭が「追放する」「脳みそなし人間」などと発言したことや、別の児童3人にも教室から追い出す罰を与えていたことを認めた。
また新潟市教育委員会は2005年5月6日、事件の調査結果の報告書を新潟県教育委員会に提出した。
新潟県教育委員会は事件の事実関係をさらに調査し、2005年5月30日に関係教員の処分を発表した。▼当時の担任の女性教諭Aを停職1ヶ月。この教諭は2005年4月からは同じ学校で別の学年の担任を務めていたが、担任からはずした上、停職期間が解けた後も市教育センターなどで研修措置にした。▼学年主任だった女性教諭Cを減給処分。▼同学年の別のクラスの担任だった男性教諭Bを戒告処分。▼管理責任を問い、校長を減給処分にした。