山形県天童市立第一中学校いじめ自殺事件

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山形県天童市立第一中学校1年だった女子生徒が2014年1月、いじめを訴える遺書を残して自殺した事件。遺族側と市との間では和解が成立した。

事件の経過

山形県天童市立第一中学校1年の女子生徒は2014年1月7日午前8時頃、天童市内のJR奥羽本線の線路で、山形新幹線の列車にはねられて死亡した。当日は3学期の始業式だった。

その後生徒の自宅から「いじめを受けていた」とするノートが発見された。

ノートには「中学に入学してからは、陰湿な『イジメ』にあっていた」「本当ハ、『死』ニたく、なカッタだけなのに」(原文ママ)などと記載されていたという。

学校側は当初「いじめは把握していなかった」とする見解を示していた。しかし全校生徒に対するアンケートを実施したところ、この生徒へのいじめがあったという訴えが相次いで寄せられた。

いじめの内容

生徒は2013年4月の入学以降、クラスで女子生徒のグループから目を付けられていじめを受けるようになった。悪口を振りまかれたりするなどし、秋になると悪口を黒板に書かれるようになっていた。クラスの他の生徒も加害者グループに同調するなどした。

加害者グループの一部は、生徒と同じソフトボール部に所属していたことで、部活動にもいじめが持ち込まれ、悪口などが振りまかれた。

ソフトボール部の顧問教師(30代男性)は、部内の雰囲気が悪くなっていることに気づき、2013年9月のミーティングでこの女子生徒についての話し合いを持った。しかし「吊し上げ」のような形になり、いじめは悪化した。

両親は生徒の異変に気づき、部活動からの退部を勧めたが、当該生徒は「内申に響くのでやめられない」としたという。

第三者調査委員会

第三者調査委員会は2015年10月5日、いじめの事実を認定し、自殺は「クラスや部活でのいじめが重なった」とする報告書をまとめた。

担任教師(20代男性)の対応について、いじめの兆候を把握していながら、リスクを的確に評価できず、場当たり的な対応にとどまったと指摘した。

また学校側について、部活動全員加入制度のもとで、部活動でのいじめ防止への認識が不十分だったと指摘した。

関係教職員への処分

山形県教育委員会は2016年3月15日、関係教職員への処分を発表した。

担任教師とソフトボール部顧問について、「問題に適切に対応しなかった」「学校内での相談を欠いた」などとして、それぞれ減給3ヶ月の懲戒処分とした。教頭(50代男性)・学年主任(50代男性)も戒告処分とした。

また校長については、この時点ですでに退職していたことから県教委としての処分はできないものの、「重大な管理監督責任がある」と指摘した。

刑事事件としての捜査

山形県警はいじめ事件について、侮辱・名誉毀損の疑いを視野に入れて、関係者への聞き取り調査をおこなった。

しかし2014年7月までに、立件に相当するような非行内容はなかったと判断し、捜査を終結させた。

和解が成立

遺族側は2016年4月、市との話し合いの中で、損害賠償請求を申し入れた。

山本信治天童市長は2016年8月23日、遺族側に解決金500万円を支払うなどの内容で、和解に応じる意向を示した。天童市議会で2016年9月22日、関連議案と和解金に関係する予算案が全会一致で可決・成立したことで、和解が正式に成立した。

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