東京都立小山台高校いじめ自殺事件

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東京都立小山台高校1年だった男子生徒が2015年9月に自殺し、背後にいじめがあったと指摘された事件。東京都教委の調査委員会ではいじめが認定されず、遺族側が起こした民事訴訟でも請求を棄却。

経過

東京都品川区の東京都立小山台高校1年だった男子生徒は2015年9月27日午後4時35分頃、JR大月駅(山梨県大月市)でホームに飛び込み、駅に進入した甲府行きの下り特急列車にはねられて死亡した。

生徒の家族は、生徒が亡くなる約1ヶ月前、この生徒が「学校に行きたくない」などと話していたことを指摘した。

学校側は調査をおこない、同級生からは「クラスで浮いていた」「いじられキャラのような感じだった」などと回答があったとされる。

また遺族側の独自調査でも、いじめをうかがわせるような「LINE」の書き込みなどの痕跡を発見したとしている。

第三者委員会

2016年1月になり、東京都の第三者委員会が調査をおこなうことになった。しかし調査委員会は2017年9月16日、いじめを「あったと判断することは極めて困難」などとして、いじめに該当する行為を認定できないとする調査結果をまとめた。

遺族側は再調査を求め、再調査委員会の設置の方向が検討されているものの、運営方法などをめぐって調整がつかず、2022年時点でも再調査は始まっていないとされる。

民事訴訟

生徒の遺族側は、当該生徒が自殺直前の1ヶ月間に保健室を訪問した回数が急激に増えていたことや、生徒が学校側の「いじめアンケート」で「嫌なあだ名を付けられる」「LINEに侮辱的な書き込みをされる」などのいじめ被害を訴えていたことなどを指摘し、いじめに対する学校側の対応に問題があったと訴え、東京都を相手取り約9300万円の損害賠償を求め、2018年9月に東京地裁に提訴した。

東京地裁は2022年7月8日、原告側の訴えを棄却した。判決では、加害生徒の行為や学校の対応については、「いじめに発展する関係や人格否定とまではいえない」「言葉遊びの中で苦痛を受けていたと断定できない」などとして、いじめだとは認定しなかった。保健室への来室回数が極端に増えていたことについては、「全校で行事が重なっていた時期で、男子生徒が深刻な身体・精神的不調を来していたと養護教諭が認識するのは困難だった」などとして、いじめとの因果関係を認定しなかった。

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