神奈川県小田原市立中学校で2011年1月26日、1年生の女子生徒が、いじめへの報復として同級生を刃物で斬りつけて負傷させた事件。加害者となった生徒に対して、父親が外国籍だったことを理由にした出自差別・民族差別を伴ういじめがあったことが、事件の背景にあった。
事件の経過
この生徒は2010年10月頃から、父親が外国籍だということを理由に、差別的な暴言を受けるなどのいじめを受けていた。担任教諭はいじめに気づき、いじめに加担した同級生の男女生徒5人を指導していた。
学校側は「指導後にいじめは収束した」と認識していたが、いじめは続いていた。
事件のあった2011年1月26日、生徒は「いじめから身を守るため」として、工作用の小刀を持って登校した。
当日は音楽の授業がおこなわれる予定で、クラスは授業前に音楽室に移動していた。その際に複数の同級生から父親の国籍をめぐって暴言があった。
さらにこの生徒が座っていた座席について、女子生徒Xが「ここに座るな。あっちに行け」などと文句を言った。Xは、以前に「国籍でからかういじめをした」として担任教諭から指導を受けていた生徒のうちの一人だった。
座席トラブルがあった直後、生徒はXに小刀で斬りつけた。Xは背中と左手にケガを負った。
神奈川県警小田原署は、傷害の非行事実で、斬りつけた生徒を児相に通告した。