兵庫県尼崎市立中学校いじめ自殺事件

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兵庫県尼崎市立中学校2年だった女子生徒が2017年12月に自殺し、いじめや教師からの理不尽な指導が自殺の背景にあったと指摘された問題。

経過

生徒は2017年12月20日、「学校がしんどいです。もう無理です。ゴメンなさい。たえられませんでした」などと記した遺書を残し、自宅で自殺を図り死亡した。

この生徒は少なくとも2017年10月頃から、同じクラスの生徒や、所属していたソフトテニス部の生徒からそれぞれ、「きもい」「うざい」「豚」などの悪口を繰り返し聞こえよがしに言われるなどのいじめを受けていた。ソフトテニス部では、部内はかねてから部員同士の対立が激しくギスギスした雰囲気だったが、少しでも雰囲気をよくしようと動いたことで逆に嫌われいじめの標的になったとされる。

生徒は2017年11月、学校が実施した「いじめアンケート」でいじめ被害を訴えた。しかし担任の女性教諭はアンケートに目を通しながら、詳しい状況を聞くことはせず、その後の観察も怠っていた。担任教諭は2017年12月15日の保護者面談で、保護者に対して「人間関係に問題はない」と発言したとされる。

学校側は場当たり的な対応に終始し、いじめも激しくなっていったとされる。

ソフトテニス部でのトラブル

2017年12月には、生徒は所属していたソフトテニス部でのトラブルに巻き込まれた。当初のトラブルは別の生徒Aを標的にしたいじめ行為だったが、生徒Aと仲がよかったこの生徒にも加害者からの矛先が向いた。翌日の部活動では、この生徒と生徒Aが部活動中に加害者からにらみつけられたり、「LINE」を通じて激しく悪口を言われるなどした。

さらにこの事件があった同日には、部活動の件とは別個に、クラスの生徒からもこの生徒に対して誹謗中傷のLINE書き込みがあったとされる。

生徒Aは学校を休むようになった。ソフトテニス部顧問教諭は関係生徒の担任や学年主任などと相談の上で、このトラブルについて、「噂が広まって登校しづらくなっている生徒Aが再び登校できるように、事態を収拾させるため」として、関係した生徒に対して「トラブルの内容を口外するな」などと指導した。

しかし2年学年担当の男性教諭が、「この生徒が部活動でのトラブルの内容を言いふらした」と誤認し、2017年12月20日にこの生徒に対して、事実確認をしないまま激しく叱責した。教諭は生徒を強い言葉で非難し、生徒が何か言おうとすると遮って発言させないなどの状況にしたという。

生徒はその日の帰宅後に自殺した。

第三者委員会の調査

尼崎市教育委員会は2018年5月に第三者委員会を設置して調査にあたった。

第三者委員会は2019年3月18日に報告書をまとめた。クラスや部活動でのいじめがあったことを認めた上で、いじめや教師の不適切対応が生徒の自殺に影響を及ぼしたことを指摘した。「生徒は相当な精神的苦痛と孤立を感じる一方、教員へのSOSは受け止められず、誤解されたまま理不尽な叱責をされた。学校そのものに絶望し自殺に至った」と指摘された。

教育委員会の処分

兵庫県教育委員会は2020年4月3日、関係教職員4人の処分を発表した。

場当たり的な対応で適切な対応ができなかったとして校長を減給10分の1(6ヶ月)、また理不尽な叱責をおこなったとして学年担当の男性教諭を減給10分の1(3ヶ月)の懲戒処分とした。また担任だった女性教諭と、部活動顧問だった男性教諭についても、それぞれ減給10分の1(1ヶ月)の懲戒処分とした。

学年担当の男性教諭は、退職の意向を示したという。

民事訴訟

生徒の家族は2019年6月17日、尼崎市を相手取り、約7900万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁尼崎支部に提訴した。

しかし尼崎市は「第三者委員会の認定は法的責任を追及するものではない」「教員には、損害賠償に至るほどの安全配慮義務違反はないと考えている」などとして、争う意向を示した。