作陽高校生徒寮いじめ集団暴行訴訟

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岡山県津山市の私立岡山県作陽高校で1991年、生徒寮に入寮していた生徒に対し激しいいじめ行為があったとして、被害者が訴えた訴訟。

経過

1991年4月に作陽高校に入学した男子生徒は、生徒寮「桃山寮」(現在は閉鎖)に入寮した。入寮直後の1991年5月から継続的に、上級生から繰り返し暴行などのいじめを受けるようになった。生徒は1993年9月に退学した。

生徒は退学後にPTSDを発症した。また暴行を受けてケガをした左ひじの状態が後年になって悪化し、左ひじの曲げ伸ばしが困難になる後遺症を発症して当時就いていた仕事を辞めざるを得なくなり、身体障害者手帳を給付される状況になった。

また当該生徒だけでなく、生徒寮では長年にわたって上級生が下級生に集団暴行を加えることが横行し、当該生徒のほかにも退学や寮からの脱走をおこなった生徒、自殺を図った生徒などが複数いたとされる。

元生徒は2001年、加害者の上級生10人や学校側と面会し、いじめ被害を訴えた。加害者は「詫びる必要はない」と突っぱねた者もいたが、うち1人は面会後に「死んでお詫びします」とする手紙を残して自殺した。自殺した上級生は、自身も1年の頃に上級生からいじめ・暴行を受けていたという。学校側は元生徒の訴えに対して、「過失はない。話し合いも必要ない」という対応に終始した。

元生徒は2002年11月18日、学校側を相手取り、約5600万円の損害賠償を求める訴訟を、神戸地裁姫路支部に起こした。

一審では2006年7月10日、「学校が寮内での暴行を防ぐ対応が不十分だった」と指摘し、約2900万円の損害賠償を命じる判決を出した。生徒がPTSDを発症したとは認定しなかったものの、いじめによって何からの精神症状が残っていることを指摘した。

学校側は控訴したが、二審大阪高裁では2007年7月5日、「一部については損害賠償請求権が時効で消滅した」として賠償額を減額したものの、学校の安全配慮義務違反を認めて約2770万円の賠償を命じる判決を出した。

学校側は最高裁に上告したものの、最高裁は上告を不受理とし、判決が確定した。

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