千葉県柏市立柏高校で女子柔道部の顧問を務めていた教諭が、2000年と2001年の2度にわたって生徒に暴行を加えた事件。2000年の暴行では生徒がケガを負い訴訟になった。
事件概要
千葉県柏市立柏高校の女子柔道部は2000年3月28日、練習試合のために島根県を訪れていた。その際顧問教諭・Kは1年生の部員に対し、「練習態度が悪い」などとして顔を殴るなどの暴力を加えた。
Kの暴力で、生徒は顔面骨折のけがを負い、また視力低下の後遺症が残った。
Kは事件後も指導を続け、またほかにも常習的に「体罰」・暴行をおこなっていた。
2002年2月、柔道部で別の「体罰」事件(2001年7月発生。Kと男子部顧問教諭が、部内での男女交際は禁止として男子部員を呼び出して暴行を加えた)が発覚した。この事件の調査をきっかけに、2000年に発生した事件も明るみに出た。Kは別の「体罰」事件発覚をきっかけに、2002年になって柔道部の指導から外れたという。
柏市教育委員会は2002年2月28日付で、2000年の暴行傷害事件と2001年7月の暴行事件の2件をあわせて、Kを停職1ヶ月の懲戒処分にした。
民事訴訟
被害にあった部員の女性は2002年12月、柏市とKに対して損害賠償を求める訴訟を、千葉地裁松戸支部に提訴した。
千葉地裁松戸支部は2006年3月、柏市に76万円の損害賠償を命じる判決を下した。被害者側は一審判決を不服として東京高裁に控訴したが、東京高裁は和解を勧告した。
2006年8月までに、柏市と加害者が連帯して200万円(柏市60万円・K140万円)を被害者側に支払う和解案がまとまった。柏市・Kとも和解に応じる意向を示し、柏市議会の承認を得たのち正式に和解がまとまった。
加害者のその後
Kは市立柏高校時代の柔道部指導実績が評価されて、宮崎県教委のスポーツ特別採用試験に合格し、2004年度より宮崎県立宮崎商業高校に赴任した。
しかし同校の柔道部でも常習的に「体罰」事件を起こすなどして、2013年3月に宮崎県教委から懲戒免職処分を受けた。