新潟県公立中学校「原発避難いじめ」事件

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新潟県下越地域の公立中学校1年だった女子生徒が2016年、同級生から「菌」などと呼ばれるいじめを受けて不登校になった事件。当該生徒は東日本大震災・福島第一原発事故で福島県から避難してきた経歴を持つことから、その経歴が影響した「原発避難いじめ」だと指摘された。

経過

小学校時代からのいじめ

当該生徒は2011年の東日本大震災発災当時には福島県に住んでいたが、大震災とそれに伴う東京電力福島第一原発事故の発生を受けて、小学校3年時の2012年9月に自主避難の形で、この地の公立小学校に転入した。

しかし転入直後より「けがれる」「キモイ」などの暴言を受ける、周囲の児童から避けられるなどのいじめが断続的に続いた。生徒は小学校時代にも一時不登校になったことがあった。生徒は当時自傷行為などを繰り返すなどの異変が出るなどし、家族は地元教育委員会に対して第三者委員会の設置要望をおこなった。しかし当時「条例がない」などの理由で設置されなかったという、

小学校6年時には、中心的な加害児童に対して、弁護士を通じての警告文を送るなどのこともあった。警告文発信直後は一度いじめは収まった。

中学校進学後

生徒は2016年4月、公立中学校に進学した。保護者は生徒の中学校進学に際して、小学校に対し、進学先の中学校に対していじめ再発防止の引き継ぎを求め、小学校から中学校に引き継ぎがおこなわれた。

しかし中学校進学後、複数の生徒から名前に「菌」をつけて呼ばれる、無視されるなどのいじめが再発した。学校側は関係生徒に指導したものの、担任教諭が女子生徒に対して「気のせいではないか」と話す行為もあったという。

学校の対応

生徒が中学校1年時の2016年7月、国語の授業で作文が課題として出た。生徒は、小学校の頃のいじめに触れ、また「中学校に進学してもいじめが続いている」と訴える内容の作文を提出した。しかし授業担当の国語教員は、作文に書かれた内容は「小学校時代の話」と思い込んだとしてそのまま採点するだけで、学校としての情報共有や対応などはとらなかった。

2016年12月、この生徒が「ばい菌」呼ばわりされて鬼ごっこの標的にされるいじめを受けたことを把握した保護者が、学校側に被害を訴えた。その直後に当該校から地元教育委員会へ、また地元教委を通じて新潟県教委へ、いじめ事案の一報が入った。

生徒は2016年12月中旬より断続的に欠席し、年明けの2017年1月以降は登校できなくなった。

事件が報道され、記者発表される

当該いじめ事案は2017年1月20日に新聞報道された。

地元教育委員会は2017年1月21日に記者会見をおこない、いじめの事実関係を明らかにした。

生徒11人が「ばい菌鬼ごっこ」に加担したことを確認したことを明らかにした。その一方で、加害生徒がいずれも原発避難との因果関係を否定したことなどをあげ、「当該生徒へのいじめは、震災・原発避難と結びつけられたものではないと考えている」とする見解を示した。

また作文の内容を国語教師が読み落としていたことについても会見で明らかにした。

第三者委員会が調査

第三者委員会は2017年2月以降、当該いじめ事案を調査した。第三者委員会は2018年1月29日、いじめと避難が「無関係とはいえない」とする調査結果をまとめ、公表した。

報告書によると、名前に「菌」を付けて呼ばれるいじめは中学校1年時の2016年6月頃から、学校側が把握した2016年12月にかけておこなわれたと判断した。また当該生徒が小学生時代から同様のいじめがあったことについても確認した。

いじめと避難者であることの関係性については、「被曝を避けるために避難した家族への無理解は根強く、子どもたちはそのような大人の差別や偏見に日常的にさらされている」と強調したうえで、「生徒が小学校に受けたいじめの内容に照らせば、無関係とはいえない」として、関連性に言及した。