北海道遠軽町立小学校女子児童自殺事件

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北海道遠軽町立小学校6年の女子児童が2008年4月に自殺し、背景には担任教諭からのいじめまがいの「指導」があったことが指摘された事件。

事件の経過

北海道遠軽町立丸瀬布まるせっぷ小学校5年だった女子児童は2007年の2学期、担任の女性教諭から嫌がらせ同然の「指導」を受けた。

教諭は「図形を描き角度を測る」という算数の夏休みの課題ドリルに対して、「この児童が描いた図形の角度がずれている」として、何度も×をつけて突き返し、約2ヶ月にわたって繰り返し書き直しを命じた。

教諭が何度も×をつけたという図形の問題であるが、全く異なる図形を描いていたわけではなく、通常ならば手書きでの誤差と扱われるべき範囲の解答だった。テレビニュースで、答案の映像が放送されたことがある。

2008年11月、夏休みの課題ドリルをいつまでも持ち帰る様子を不審に思った保護者が担任教諭に問い合わせた直後に、書き直しを命じる行為は収まったという。

また教諭は、この児童に対して、一人だけ音楽の楽器の居残り練習を繰り返し命じるなどした。

また教諭は、他の児童に対しても「忘れ物をした」として約20分間にわたってつるし上げるような「指導」をおこない、その様子を目撃した児童は怖がっていたとも指摘されている。

児童は「担任が嫌だ」と何度も訴え、学校を休みがちになっていた。「6年生に進級してもあの担任なのは嫌だ」とも訴えていた。

6年に進級し、この教諭が6年でも持ち上がりで担任になることを知った直後に、児童は自殺した。

訴訟

遺族は「児童の自殺は教諭の指導が原因」として、遠軽町や北海道を相手取り、約7800万円の損害賠償を求めて札幌地裁に民事訴訟を起こした。

札幌地裁は2013年6月3日、教諭の指導と自殺との因果関係は認定せず、自殺後の学校側の対応が不適切だった点のみを指摘し、約110万円の損害賠償を命じる判決を出した。

教諭の指導について、「やや厳しい指導だったことは否定できない」としたものの、「教育的効果が期待されるもの」として違法性は否定し、自殺との因果関係も認めなかった。

また自殺後の学校側の調査については「学校には自殺の原因についての報告義務がある」と一般論を指摘した上で、学校側が適切な調査をしなかったことを指摘した。

遺族側は控訴したが、二審札幌高裁は2014年2月27日、一審判決を支持して控訴を棄却した。

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