浜松市立曳馬中学校いじめ自殺事件

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静岡県浜松市中区(現・中央区)の浜松市立曳馬ひくま中学校2年だった男子生徒が2012年、いじめを苦にして自殺した事件。

事件概要

浜松市立曳馬中学校2年の男子生徒は2012年6月12日、自宅マンションから飛び降りて死亡した。

生徒は、同級生から「悪口を言われる」「エアガンで撃たれる」「持ち物を壊される」「学習塾の帰りに、同じ塾に通う同じ学校の生徒数人から取り囲まれて、乗っていた自転車を蹴られる」などの行為を日常的に受けていたと指摘された。

いじめは2012年2月頃から始まったとみられる。2012年4月には、塾帰りに取り囲まれているところを目撃した塾の近所の住民や塾講師が、加害生徒らへの注意をおこなっていた。

浜松市教委の第三者委員会は2012年12月19日、生徒の転落死を「自殺」と判断した上で、「背景にいじめがある」と結論づけた。

浜松市教委は2013年3月29日付で、いじめへの対応が不十分だったとして関係教職員への処分をおこなった。校長を文書訓告、教頭2人を口頭訓告、担任教諭と部活動顧問教諭を口頭厳重注意の措置とした。一方で、(処分時点では)刑事事件になっていない・意図的にいじめを見逃したわけではないなどとして、懲戒処分は見送り、行政処分にとどめた。

警察に被害届を提出

生徒の父親は2013年5月31日、生徒がいじめ被害を受けていたとして、いじめに関与したとされる同級生29人と、校長・担任・部活動顧問教諭ら学校関係者について、静岡県警浜松中央署に被害届を提出した。

静岡県警は2014年1月15日、自殺した生徒への集団暴行に関与したとして、同級生1人を暴力行為法違反(共同暴行)容疑で静岡地検浜松支部に書類送検した。また同日付で、当時13歳だった同級生8人についても、同法違反と器物損壊で児童相談所に送致した。

民事訴訟

生徒の両親は2013年6月17日、浜松市やいじめに加担したとされる同級生11人を相手取り、約6400万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁浜松支部に提訴した。

訴状では、自殺した生徒は2012年2月頃から被告生徒からいじめを受け始め、学校や通っていた学習塾で悪口を言われたり暴力を受けたりしたとしている。自殺当日の2012年6月12日には、学校側に提出予定だったノートを加害生徒グループから隠されたとも指摘している。

また学校側がいじめを放置したことや、生徒の死後に速やかな調査をおこなわなかったことも指摘している。

浜松市や同級生側は争う方針を示した。しかし静岡地裁浜松支部は和解を勧告した。

2016年1月25日付で、静岡地裁浜松支部で和解が成立した。▼同級生と浜松市が連帯して、解決金415万円を遺族側に支払う。▼同級生はいじめ行為を謝罪する。▼学校の対応が遺族側の不信感を強めたとして、浜松市が遺憾の意を示す。――といった内容になっている。

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