栃木県佐野市「ママ友いじめ」自殺事件

栃木県佐野市の市立小学校に子どもを通わせていた母親2人が、それぞれ学校で「自分の子どもがいじめを受けている」と訴えて改善を求めたところ、同じ学校の母親グループから保護者同士のいじめの標的になり、2015年4月に相次いで自殺した事件。

事件の経過

当該校は1学年10~15人ほど、全校児童70人ほどの小規模校だという。

同校に子どもを通わせていた母親・AさんとBさんがそれぞれ2014年頃から「自分の子どもが学校でものを隠されたり無視されるなどのいじめを受け、不登校になっている」として、学校側に相談した。AさんとBさんは母親同士も親しかったという。

しかしそのことで保護者グループから逆恨みされて目を付けられ、AさんとBさんに対しての「ママ友いじめ」に発展した。

加害者グループは、保護者のLINEでAさんやBさんの悪口を振りまく、Aさんの子どもが学校で「家族旅行をした」と話していたと聞き「自慢話をさせるな」とAさんに言いがかりを付けて罵倒する、Bさんに「てめえの育て方が悪いんだよ」「母親失格」などと暴言を浴びせるなどの攻撃を繰り返し加えた。

「ママ友いじめ」首謀者格の母親Xは、地元の公立中学校の教師として勤務していると指摘された。

Aさんは2015年4月16日に自殺した。葬儀の際の弔辞はBさんが読んだという。約1週間後の4月22日に開かれた保護者会では、Bさんは他の母親から「あなたはどうするの?」となじられた。Bさんは「Aさんは自殺したけど、Bさんはどうするの?」の意味だと受け取って強いショックを受け、泣きながら帰宅したという。保護者会の翌日の4月23日に、Bさんも自殺した。

学校や市教委は事件後に調査をおこなったが、LINEで悪口のやりとりがあったことは確認したものの、児童や保護者へのいじめは確認されなかったと結論づけた。

事件隠蔽策動

事件は2015年7月になり、ある全国紙の地方版で小さく報道された。その後週刊誌やテレビ局のワイドショー番組が後追い取材をおこなって報じている。

その一方で、「ママ友いじめ」加害者や町内会関係者などが地域に圧力をかけ、取材拒否や箝口令などを敷いたことも指摘された。

週刊誌報道によると、学校側が遺族に圧力をかけ、学校関係者の主導で「取材自粛要望」を作成し、遺族名で報道陣にファックスで送りつけたと指摘されている。取材自粛要望のファックスは、学校の教職員が手分けして、学校周辺の複数のコンビニから送信したとされる。

報道直後には、地域住民有志がマスコミ取材対策の警備担当として町内を巡回し、マスコミ関係者の動向に目を光らせていたことが指摘された。また、町会長・校長・PTA会長の連名で「マスコミ関係者が訪問したときには『わからない。お引き取りください』とお伝えください。マスコミが取材を続けようとする場合は警察署に連絡してください」と求める文書が、町内各戸にポスティングされた。

加害者とされる保護者は、保護者の食事会を企画して、誰がマスコミに情報を漏らしたかなどを探っていたとも指摘された。