神奈川県横須賀市立大楠中学校で1984年、3年担任で保健体育科担当だった男性教員・F(当時28歳)が生徒に暴行を加えたが、生徒から反撃されたことに逆上し、生徒をナイフで刺して負傷させた事件。
事件の経過
この教諭・Fは1984年11月12日、3年の男子生徒5人が問題行動に関与した疑いがあるとして、校内の職員控室に生徒を呼び出した。
Fは生徒らを床の上に正座させた上で、「ふざけんじゃねえ」などと罵倒しながら、生徒らを棒で殴った。
その際に1人の男子生徒が、殴られたことへの反撃としてFを殴り返した。反撃されたことに逆上したFは、持っていたナイフで生徒を複数回刺すなどした。
当時複数の教諭が事情を聴くことになっていたが、事件当時はこの教諭1人だけだったという。他の生徒は事件の経過をあっけにとられて見つめていた。
遅れて入ってきた別の教諭が、流血している生徒や、この生徒ともみ合っているFの様子に気づき、止めに入った。被害生徒は、別の教諭と養護教諭とともに自家用車で病院に搬送され、全治10日間のケガと診断された。
Fは事件後そのまま帰宅したが、学校から呼び戻されて被害者自宅に謝罪に赴いたという。
警察への届け出は翌11月13日となった。神奈川県警横須賀署がFへの事情聴取をおこなったが、「逃走のおそれはない」などとして同日夜に帰宅した。
神奈川県警横須賀署は1984年12月5日、Fを暴行・傷害・銃刀法違反容疑で書類送検した。また被害生徒についても、Fに暴力を振るったとして書類送検された。
神奈川県教育委員会は1984年12月12日、Fを懲戒免職処分にした。
関連事件
事件後当該校では、事件を受けて生徒指導を厳しくするとして、力で押さえ込む指導を強化していた。しかし、その反動で校内の備品が壊されるなどの荒れ出す兆候が出だすなど、逆に不穏な空気が進んだという。
そんな折り、事件から1年と少し経った1986年初め頃、生徒指導担当の社会科教師・N(当時49歳)が、2年生対象の講話で、3年の特定の生徒を名指しして罵倒するような形で「あんなのにはなってはいけない」などと言及したとされる。
当該生徒グループがその話を聞きつけて激怒し、1986年2月3日の全校朝礼の際に当該生徒グループ5人がNに襲いかかって集団暴行を加え、ケガをさせる事件が発生した。