岩手県矢巾町立中学校いじめ自殺事件

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岩手県矢巾町立中学校2年の男子生徒が2015年7月5日に自殺し、背景にいじめがあり、また学校側の不適切対応も指摘された問題。

経過

岩手県矢巾町立中学校2年の男子生徒は2015年7月5日、東北本線矢幅駅のホームで、列車に飛び込み自殺した。

自殺した生徒は、1年時からいじめを受けていた。1年だった2014年5月頃から、担任教諭に提出する「生活記録ノート」に、いじめの具体的な内容を訴えていた。しかし1年時の担任教諭、2年時の担任教諭ともに、いじめを訴える生徒の記述を読み赤ペンで返事を書きながら、返事の内容は全くかみ合わないものだった。

1年時の担任教諭とのやり取りは、以下のとおりだったという。

生徒「なぐられたり、けられたり、首しめられたり」
担任「それは大変、いつ?? 解決したの?」

生徒「解決していません」
担任「(空白。生徒の記述に二重丸をつける)」

生徒「先生にはいじめの多い人の名前をおしえましょう。もうげんかいです」
担任「上から目先ですね」(※「上から目線」の誤字とみられる)

また2年時の担任教諭とのやり取りは、以下のとおりだったという。

生徒「ボクがいつ消えるかはわかりません(中略)もう市ぬ場所は決まっている」(※「市ぬ」は「死ぬ」のネットスラングだと思われる)
担任「明日からの研修たのしみましょうね」

この生徒がいじめを訴えたにもかかわらず、学校側は当初「いじめは把握していない」として扱った。その後学校側はいじめ6件について認め、いじめが自殺の原因になったことは否定できないと判断した。

学年主任・加害生徒、いじめ証言した同級生に圧力

事件がマスコミで報道された直後、自殺した生徒へのいじめがあったことをマスコミで証言した同級生に対し、学校側がその生徒を特定し、教師やいじめ加害者が生徒に嫌がらせをおこなっていた。

学年主任の教諭は2015年7月8日と9日にこの生徒を呼び出して、「余計なことを言うな」「反省したか」などと問い詰めた。また校内でこの生徒といじめ加害者とされる生徒がすれ違った際、加害者は少なくとも3回にわたって舌打ちをするなどした。

刑事処分

生徒の保護者は2015年7月12日、いじめに関与した4人の生徒を刑事告訴した。警察は2016年1月までに、同級生1人を書類送検、当時13歳だった1人を児童相談所通告とした。残る2人は事実関係が明確に確認できなかったとして、処分を保留した。

書類送検された生徒は、その後盛岡家裁で不処分相当と判断された。

第三者委員会

第三者委員会は2016年12月23日、「1年時の部活動中、失敗を責められるなどした」「2年進級後、顔を殴られるなどの暴行を受けた」ことなどをいじめと認定し、いじめが積み重なって「死にたいと思う原因になった」とする調査報告書をまとめた。

学校側の対応については、トラブル対応は個別のものにとどまり、教員間での情報共有ができていなかったことを指摘した。また生徒が学校に提出するノートに「死」などの言葉を記していたことについて、家族側に情報提供しなかったことなどを指摘した。

教職員への処分

岩手県教育委員会は2017年3月28日付で、関係教職員の処分を発表した。

生徒が1年時だった2014年度より、生徒のいじめ訴えを把握していながら適切な対応を取らなかったとして、事案発生時の2015年度の校長を減給1ヶ月、副校長と2014年度の校長を戒告処分とした。

また生徒のノートに「死」などの文字が書かれていることに気づきながら、保護者への連絡などの対応を怠ったなどとして、担任だった女性教諭を戒告処分にした。

 
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