いじめのうちインターネットを使用した手法を特にネットいじめと呼ぶことがある。インターネットの普及、特に中学生・高校生への携帯電話の普及に伴い、2000年代半ば頃から社会問題化している。
手口としては、ブログ・SNS・掲示板・いわゆる「学校裏サイト」などへ、他の生徒を名指しして誹謗中傷や個人情報を書き込むなどがある。また匿名メールで執拗に悪口を送りつけたり、同級生らにメールで連絡を回しながら標的の生徒を攻撃するなどの手法もみられる。
さらに、被害者側の事件告発や事件の報道記事に触れた第三者のブログ・SNSでの正当な発信に対して、加害者側関係者が「名誉毀損・誹謗中傷」と難癖を付けて中傷書き込みや中傷メールなどで不当な恫喝をかけたり、プロバイダに嘘の「送信防止措置」などを送りつけて被害者や第三者を恫喝したり、プロバイダに不要な仕事をさせて業務妨害することなどで、正当な発信を妨害・恫喝し萎縮させようとする行為についても、脅迫や偽計業務妨害などの触法行為にもあたるとも考えられるが、「ネットいじめ」に含まれるべきだと考えられる。
ネットいじめの事例
※ここで示した事例は一部です、「タグ:ネットいじめ」では、このほかのネットいじめに該当する事件についても示しています。
仙台市立中学校(2006年)
ネットに特定生徒を名指ししての中傷が書き込まれ、被害生徒が転校。書き込みをおこなった生徒が書類送検される。
京都市立中学校(2007年)
転入してきたばかりの生徒が「早く友達を作りたい」としてブログを同級生らに紹介したが、同級生がブログに中傷書き込みを繰り返したために抑うつ症状を発症した。
兵庫県・私立滝川高校(2007年)
3年男子生徒が自殺。いじめの手段の一つとして、「学校裏サイト」での当該生徒への中傷があったと指摘された。
福岡県・私立美萩野女子高校(2008年)
1年生の女子生徒が、同級生からインターネット上に悪口を書かれたことを苦にする遺書を残して自殺。
さいたま市立中学校(2008年10月)
同級生の実名を名指しして「ネットに悪口を書かれた」とする遺書を残し、当時3年生の女子生徒が自殺。
熊本県立高校(2013年8月)
1年の女子生徒が自殺。生徒寮で物を隠されるなどのいじめのほか、「LINE」に「レスキュー呼んどけよ」と脅迫書き込み。
新潟県立高校(2016年11月)
1年の男子生徒が自殺。不快なあだ名で呼ばれるなどのほか、同級生が「LINE」でこの生徒のコラ画像を作成してアップするなどもあった。
新潟県立高校(2018年1月)
女子生徒2人が、教室に座っている同級生の男子生徒に対して、生理用品のナプキンを顔に貼り付けるいじめ行為をおこない、その動画を「インスタグラム」にアップする。
三重県立高校(2018年5月)
2年の女子生徒が同じクラスの男子生徒から事実無根の噂を振りまかれる。学校側が男子生徒を指導して当該生徒は謹慎処分となったが、男子生徒と交際していた別の女子生徒Xと、かねてから被害生徒と折り合いが悪かった上にXの友人でもある女子生徒Yがそれぞれ、男子生徒が謹慎のために体育祭に参加できなくなったことを逆恨みするなどして、女子生徒に対して「殺してやろうか」「ヘラヘラしやがって」などと攻撃する書き込みをSNSにアップ。女子生徒は不登校になった。
東京都八王子市立中学校(2018年8月)
2年の女子生徒が自殺。1年の時に部活動で上級生から罵倒されたり、「LINE」に悪口が書き込まれるなどして不登校に。その後転校したものの「LINE」での中傷が続いていたとされる。
三重県立高校(2018年8月)
1年の男子生徒が自殺。「LINE」に複数回にわたり、生徒を攻撃する書き込みがあったと指摘される。
愛知県・私立愛知高校(2018年11月)
2年の男子生徒が、所属していた部活動について「部活やめろ」などと他の部員から「LINE」に書き込まれるなどして自殺を図る。
東京都町田市立小学校(2020年11月)
6年の女子児童が、いじめを受けたとするメモを残して自殺。当該校ではICT教育の推進校として児童に1台ずつChromebook端末を貸与していたが、学校端末を経由したネットでの悪口の書き込みなどがあったと指摘される。学校側の管理体制にも問題があり、ログインIDは「クラスと出席番号」、パスワードは全員共通のものを使用させていた。そのことから、他人のIDでログインして気に入らない児童の悪口を書き込む・他人の作成中の課題を消したり落書きするなどの「なりすまし」などが横行していたとされる。