佐賀県唐津市立中学校1年だった女子生徒が2007年5月、通っていた学校の校舎から飛び降り下半身マヒの後遺症が残った事件。いじめによる自殺未遂だと訴えて提訴したが、裁判ではいじめを認めない判決。
経過
2007年5月31日午前8時50分頃、1年の女子生徒が校舎脇で倒れているのが発見され、救急搬送された。生徒は校舎3階の踊り場から飛び降りたとされる。物音に気づいた教員らが様子を見に行き、倒れている女子生徒を発見した。
当時はホームルーム終了直後で、女子生徒はホームルーム出席後に教室から抜け出して飛び降りたとみられる。
生徒は下半身不随の後遺症を負った。
この問題では、女子生徒がいじめを受けていたことが指摘された。女子生徒は2017年4月に入学しソフトボール部に入部したが、部活動の上級生3人から暴言を受ける・はいていた短パンをずり下ろされるなどのいじめがあったと訴えた。
唐津市教育委員会は、全校生徒へのアンケートとソフトボール部員への個別聞き取り調査をおこない、2007年7月に「結果的にいじめと認められる行為があった」と判断する調査結果を出した。
民事訴訟
生徒側は2009年までに、「部の上級生からの継続的ないじめで追いつめられた」なとどして、加害者とされる上級生3人とその親権者計6人、および唐津市を相手取り、約1億3100万円の損害賠償を求めて佐賀地裁に提訴した。しかし唐津市は「自殺の予見可能性はない」などとして争う方針を示した。
佐賀地裁は2012年1月27日、原告側請求を棄却する判決を出した。加害者とされる上級生の行為については、短パンを下ろすなどの事実があったことは認めながらも「違法な加害行為ではない」として責任を認めなかった。また「いじめを学校に申告したことはない」などと判断し、学校の安全配慮義務違反を認めなかった。
原告側は福岡高裁に控訴したが、2012年12月11日に控訴を取り下げ、一審判決が確定した。マスコミ取材に対して原告側弁護士は「理由はコメントできない」などと話したという。一方で唐津市は「同日に和解協議が予定されていたが、和解に応じるのは難しいという意向を伝えるつもりだった」とコメントした。