群馬県立勢多農林高校いじめ自殺事件

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群馬県立勢多農林高校2年の女子生徒が2019年2月に自殺し、背景にいじめが指摘された案件。

事件の経過

群馬県立勢多農林高校2年だった女子生徒は2019年2月1日午後7時過ぎ、群馬県前橋市内の鉄道踏切で列車にはねられて死亡した。

生徒の自宅から、いじめ被害をうかがわせるようなメモ27枚が出てきた。「もうつかれた 私はその言葉で傷ついて泣いてきたのに こんな世界もうバイバイ」「耐えられない。ずっと悪口を言っている」「先生は私の言葉を信じてくれなかった。ネットで悪口を言われてるのは本当なのに」などと記載されていた。メモは2018年7~10月の日付だった。

同級生からは「この生徒がいじめ被害を訴えているのを聞いた」「いじめを目撃した」という証言もあったという。生徒は高校1年だった2017年夏頃に容姿を動物に例えられたとして、また2019年1月には同級生から「死ね」と言われたとして、それぞれ担任に被害を相談していた。また家族も1年夏の時点でいじめに気づき、学校側に相談していた。

また生徒は匿名・非公開でツイッターを開設し、そこにもいじめ被害を書き込んでいた。生徒の死後、ある新聞社の記者が家族の了承を得て当該ツイッターを閲覧し、生徒がツイッターに「いじめられた」と複数回書き込んでいたことを確認して新聞記事にしている。

当該生徒は高校入学後体調不良を訴えて休みがちになっていた。自殺当日も体調不良を訴えて早退し、病院を受診して一度帰宅したのちに外出して列車にはねられたという。

事件の調査

学校は事件後調査をおこない、2019年3月31日に調査結果を発表した。自殺の約2週間前に「3年生を送る会」の準備での打ち合わせで、配役について意見が食い違った際、周囲の生徒から「なぜ(自殺した生徒)がやるのか」「他に似合う子がいるのに」などの発言があったという。学校側はこのトラブルについて、いじめ防止対策推進法で定義する「いじめ」に該当すると判断した。一方で学校の調査では、生徒への継続的な悪口などは「確認できなかった」とした。

群馬県教育委員会が第三者委員会を設置して調査した。その際にある委員について、「群馬県桐生市立小学校いじめ自殺事件(2010年)でも第三者委員会の委員として関与していたが、当該事件の調査の際に、被害児童の両親からの聴き取りをおこなわないまま『家庭にも問題があった』と結論づけて関係者から反発を受けた経緯がある」として、公正な調査がおこなえないのではないかという懸念が出された。生徒の遺族は当該委員の交代を求め、当該委員は事件調査に加わらずに辞退する意向を示した。

第三者委員会は2020年11月30日、調査報告書を群馬県教育委員会に答申した。調査報告書では、自殺約2週間前に「3年生を送る会」に関連して暴言を受けたことをいじめと認定した。生徒側が訴えていたものの学校側が確認できないとしてきた「容姿を動物にたとえられる」などの1年の頃から続いていた継続的な悪口については、複数の同級生から証言があったことを把握したものの、はっきりしないと結論づけた。いじめにあたる行為はあったとしながらも、いじめは自殺の主要因ではない・自殺の要因は「複合的なもの」と判断し、「2018年11月の飼い猫の死が影響したことが主要因」だと結論づけていたという。

遺族側は調査結果を不服として、再調査を求めた。群馬県は2021年6月、県のいじめ再調査委員会に再調査を諮問することを発表した。

再調査委員会は2024年2月24日に調査報告書を発表した。再調査委員会では、いじめがあり自殺との間に因果関係は否定できないとしたものの、直接的な自殺の要因は「飼い猫の死」として、いじめとの因果関係を十分に解明するに至らなかった。再調査委員会報告書では、学校側の対応についても指摘し、適切に対応すれば自殺を未然に防げた可能性があるとも指摘した。

派生事案

生徒の関係者は、再調査委員会の発表を受け、2024年2月28日に群馬県庁内の県教委事務局を訪問した。しかしその場で県教委職員とトラブルになり、その際に関係者が県教委職員に暴力行為を加えるなどしたとして、警察は公務執行妨害容疑で関係者を現行犯逮捕した。関係者は容疑を否認したという。

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