埼玉県行田市・いじめ教師の逆恨み「モンスターペアレント」訴訟

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埼玉県行田市立小学校の教諭が児童に不適切指導をおこなって保護者から抗議を受けると、逆恨みで児童へのいじめ行為を繰り返した上、児童の保護者を「モンスターペアレント」呼ばわりして提訴した問題。

事件経過

埼玉県行田市立小学校で3年を担任していた女性教諭(当時45歳)は2010年6月、担任クラスでの女子児童が「別の児童からぞうきんで殴られた」と訴えたトラブルを指導した。その際に「ぞうきんで殴られた女子児童と、相手の女子児童のどちらが悪いかを、クラスの多数決で決めさせる」という、トラブルの中身がどうあれ指導方法としては極めて不適切な行為をおこなった。そして相手の女子児童を支持する声が多かったとして、殴られた女子児童に対し教室の前に立たせ、クラスの児童全員の前で相手の児童への謝罪を強要した。

このような「指導」は、いじめまがいとも言ってよく、非教育的なつるし上げでしかない。

殴られた上に謝罪を強要された女子児童の保護者は、連絡帳などを通じて担任教諭に苦情を入れた。しかし担任教諭は逆恨みし、保護者の苦情に対しては一切答えず、教室では児童へのいじめを繰り返した。

2010年6月末には、児童のテストの答案を教諭がわざと消して白紙解答のようにしたうえで、「×」をつける嫌がらせをおこなったのではないかという疑惑が浮上した。さらに2010年9月15日には、教諭は児童の背中を殴った。保護者はそれぞれの事件ごとに苦情を入れたが、2010年9月の暴力事件について教諭は「背中に軽く触れただけ」として事実を認めず、校長も取り合わなかった。

教諭の一連の行為に不信感を抱いた保護者は、児童にICレコーダーを持たせるようになった。担任教諭は2010年10月、「逆上がりの練習ができなかった」としてこの女子児童を教室の前に立たせてつるし上げて罵倒し、他の児童に対して謝罪を強要した。その音声が録音されていた。

教諭は「モンスターペアレンツの執拗な嫌がらせが原因で不眠症になった」「連絡帳への抗議文、保護者が埼玉県教委に対して不適切指導を訴えた文書、『体罰』で警察に被害届を出されたことなどは、自分への中傷」などとして、2010年9月に保護者に対して損害賠償約500万円を求めて提訴をおこなった。

また教諭がいじめを先頭に立っておこなっていたことで、女子児童は同級生からも靴を隠されるなどのいじめを受けるようになった。

2011年1月に一連の経過がマスコミ報道され、同年1月21日付で学校側は担任を交代させた。学校側は校長が「モンスターペアレンツに負けない訴訟」とする文書を出したことなど、担任教諭側につくような対応をおこなっていたとされる。保護者側はマスコミで事件の事実関係が報道された際、教諭のいじめ行為に関する録音音声を公開した。

さいたま地裁熊谷支部は2013年2月28日、教諭の訴えを棄却する判決をだし、その後確定した。「連絡帳を読むのは学校関係者に限られ、しかも学校関係者には職務上知った内容への守秘義務が課せられている」と指摘し、保護者の訴えが不特定多数に広まることはないとして名誉毀損にはあたらないとした。しかしその一方で、保護者の抗議が一部「行き過ぎだった」と判断され、教諭の主張が一部認容されるなど不十分な点も含まれていた。

保護者からの訴訟

保護者側は判決確定を受け、「教諭の『指導』と称する行為は不当行為」「教諭からの提訴も不当・違法行為」として、教諭の行為で苦痛を受けたとして、教諭個人と行田市に対し約2300万円の損害賠償を求める別の訴訟を提訴した。

しかしさいたま地裁熊谷支部(外山勝浩裁判長)は2017年10月23日、教諭の指導は一部配慮に欠ける面はあったものの「全体としては成長につながると期待してなされたもの」として、また教諭の提訴行為についても「著しく相当性を欠くとは認められず、訴訟行為も正当な訴訟活動の範囲にとどまる」として、両親側の請求を棄却する不当判決を出した。

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