茨城県高萩市立中学校生徒自殺事件

スポンサーリンク

茨城県高萩市立中学校3年の女子生徒が2019年4月に自殺したことについて、所属していた卓球部で、顧問教諭からの暴言など「不適切な指導」があったとされる問題。

事件の経過

当該校の卓球部は、全国大会に出場したこともある実力校だとされる。顧問教諭も卓球指導のベテランだという。

自殺した生徒は2018年9月、学校側が実施したアンケートに「部活動が楽しくない」と回答していた。2019年3月頃からは部活動に参加できない状態になっていたものの、学校には通常通り登校していた。

この生徒が部活動に行けなくなった直後の2019年3月20日、高萩市教育委員会に匿名の電話で、「この学校の卓球部顧問教諭が不適切行為を繰り返している」とする連絡があった。教育委員会はその日のうちに学校に連絡し、学校側から当該教諭に対して改善を求めていた。

女子生徒は2019年4月30日、自宅で自殺した。直後に、生徒の部屋からノートが発見された。ノートには、顧問教諭を名指しして「部活動中に部員全体に対して『殺すぞ』『馬鹿野郎』などの暴言があった」「複数の部員の肩を小突いたり、道具を投げつけるなどの行為があった」などとする内容が記されていた。

家族は、ノートに記されていた内容を学校側に連絡した。学校側が顧問教諭に聴き取りをおこなったところ、そういう行為があったと大筋で認めたとしている。

学校は2019年5月5日に保護者説明会を開いたのち、2019年5月6日に高萩市教育委員会担当者が記者会見を開いて事件の概要を公表した。

高萩市教育委員会は、2019年5月6日時点では生徒の自殺原因について「これから詳細に調査する。第三者委員会を設置する方針」という見解にとどめた一方、教諭の行為については「不適切指導」とする見解をとった。

第三者委員会の調査報告書

その後第三者委員会が設置され、2021年3月25日に調査報告書をまとめた。

調査報告書では生徒の自殺原因について、複合的で「単純明快な説明は困難」とした。調査委員会の判断理由の詳細については、遺族に配慮したとして大半が黒塗り公表とされた。

その一方で、勝利至上主義で厳しい指導を正当化するような風潮に陥っていた部活動指導が顧問教諭の威圧的な態度を呼び込んだと指摘し、部活動を改革する必要性を指摘した。事実上全員に義務化していた形になっていた部活動のあり方は改善すべきなどとも指摘している。

教諭の処分

茨城県教育委員会は2021年5月24日、顧問教諭が部活動指導中に複数の生徒に暴言を吐くなど不適切指導を繰り返したとして、当該教諭を減給処分にした。

タイトルとURLをコピーしました