神戸市立東須磨小学校教諭暴力事件

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分限休職条例

加害者教員4人については、いじめ・パワハラの事実が確認されたのちに校務から外したものの、「自宅謹慎の制度がない」として、手続き上は2019年10月1日以降有給休暇を取らせる形になっていた。加害教員への給与が支払われることについて、世論の批判が巻き起こっていた。

久元喜造神戸市長は2019年10月28日、「職員の分限及び懲戒に関する条例等の一部を改正する条例の件」を神戸市会に提出した。重大な非違行為があり刑事事件として起訴される恐れがある・引き続き職務に従事させると支障が出る恐れがあると認められる職員について、市独自に分限休職を可能とし、給与の差し止めも可能にするという内容。当該案件だけではなく将来的な職員の問題にも対応する恒常的な条例となっている。議案は同日の委員会で可決され、翌日10月29日の本会議では賛成多数で可決されて成立した。

しかしその一方で「基準が曖昧で、恣意的な認定がおこなわれることもありうるのではないか」「起訴される恐れなどは誰がどう判断するのか」という疑問が出た。市会会派「つなぐ」は反対に回った。また賛成した会派も「審査会にかけるのを義務化するなど、恣意的な運用を避ける手立てをとるべき」と質疑し、附帯決議を出した。

改正条例は翌2019年10月30日付で公布された。加害教員4人については、審査会で本人の弁明をおこなう機会を保障したのち、給与差し止め・分限休職が妥当と判断された場合にはその時点から切り替わるとされた。2019年10月31日、加害教員への聴聞をおこなう審査会と、臨時の教育委員会を経て、加害教員4人を給与差し止め・分限休職処分とした。

しかし加害者教員のうち一人が2019年11月、処分を不服として人事委員会に審査申し立てをおこなった。さらに2020年1月になり、首謀者格とみられている別の加害者教員も、処分を不服として人事委員会に審査申し立てをおこなった。

人事委員会は2021年8月2日、条例の制定過程そのものは正当と判断したものの、教員への事情聴取・弁明の機会が十分ではなかったなどとして、「手続きに瑕疵があった」として分限休職処分の取り消しを決めた。

加害者教員による行為

加害者教員は、報道等によると、以下のような行為をおこなったとも指摘されている。

加害者A

報道では神戸市内の私立中高一貫校から2浪後に大阪教育大学に進学し、2010年に教員に採用されたとされる。高校時代の同級生がマスコミ取材に応じて証言したところによると、「当時からいじめっ子だった」という。「教師の前では良い子のふりをしているが、裏では同級生を嫌なあだ名で呼ぶなどしていた」「東京大学志望だと吹聴し、神戸大学志望の同級生に『あいつが受かるわけない。合格するまで何浪するか賭けようぜ』、私立大学に推薦で合格した同級生を『負け組』などと暴言を繰り返すなどの嫌がらせをしていた」「当時、教員志望という話は聞いたことがない」と報じられた。

2012年度、当時在籍していた箕谷小学校で、担任クラスの児童の腹を殴るなどした。その際に被害児童の保護者が学校に問い合わせてもA教員は「何なんですか」というような対応をとり、また当時箕谷小学校教頭だったSが、A教員の暴力行為をもみ消すような動きをおこなったとされている。

加害者D

加害者D教員は、担任クラスで児童に対して「嫌いだ」と発言したことや、児童の答案用紙を破り捨てたこと、2017年度には当時担任していた3年生のクラスで「音楽の授業で忘れ物をした」として児童の椅子を後ろから引き転倒させたうえに胸ぐらをつかんで立たせたことなどが指摘され、それぞれ学校側に苦情が出ていたという。

2020年2月28日付の懲戒処分ではこれらの件についても「不適切指導」として加味されたともされる。

週刊誌報道によると、E教員について、以下のような証言が報じられている。

  • 神戸市出身で、祖父・父ともに市教委関係者、兄2人も教育関係者と、家族にも教員関係者が多い「教員一家」に育った。
  • 周囲からは「人当たりがきつい」と感じる人もいた。
  • 前任校でも気に入らない教員について「あの教師の言うことは聞かなくていい」と児童に吹聴していた。

実行者不明

加害者男性教諭のうち1人は2016年度、当時担任していた6年のクラスで体育のバレーボールの授業中、「お前はコートに入ってくるな」などと男子児童の体を押し、その際に転倒させて骨折させたことがあった。この事件は「体罰」・暴力行為ではなく偶発的な事故として扱われ、処分などはおこなわれなかった。

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