愛知県豊橋市立岩西小学校「体罰」事件

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愛知県豊橋市立岩西小学校の男性教諭が2017年、受け持ちのクラスで「体罰」暴行や威圧的な指導を常習的に繰り返していたことが発覚した事件。当該教諭は過去にも「体罰」で処分を受けた前歴や、児童を骨折させた前歴もある。

事件の経過

愛知県豊橋市立岩西小学校の男性教諭・F(43)は、2017年度に2年の担任になった。

しかし新学期開始直後の2017年4月、教諭は宿題を児童に配るのを忘れた。その際に児童から「先生、今日は宿題がないのですか」と聞かれたことに逆上し、突然「なんでもっと早く言わないんだ」などと大声で怒鳴りつけた。

保護者から相談を受けた学校側は、別の教員を補助・見守り役としてつける対応をとった。しかし教諭は、補助役の教員がいない隙を見計らうかのように、児童への「体罰」・暴力・威圧的な態度を繰り返したという。

教諭は、複数の児童を授業中に定規などで殴ったり、児童を別室に連れて行き「バカ」「お前がクラスで一番できないやつだ」などと人格否定の罵声を浴びせるなどの行為を繰り返した。

さらには、クラスの児童が授業中に挙手しなれば罵声を浴びせたり、机を蹴り上げるなどの威嚇を加えた。この影響で、授業参観の様子を見ていた保護者が「挙手する児童の数が異常に多い」と不審に思ったほどだという。

教諭は普段から大声で威圧し、ストレスを感じていた児童が多数いた。また暴行についても、「親に言ったら仕返しする」と児童を脅迫し口止めを図るような行為を繰り返した。

2017年10月には、算数の授業中、問題を指示通りに解けなかったとして、女子児童の頭をつかんで黒板にぶつける暴行を加えた。児童はその後登校できなくなった。

被害に遭った児童の保護者が学校と豊橋市教育委員会に連絡し、問題が発覚した。

学校・教育委員会の調査では、「体罰」の被害に遭った児童は、2017年10月の件の女子児童を含めて少なくとも計5人確認されたという。

過去の事件

教諭は2006年度に愛知県教委に採用され、事件当時12年目だった。

教諭は2012年にも、当時勤務していた別の豊橋市立小学校で「体罰」事件を起こし、戒告処分を受けている。2012年6月、外国人・来日児童対象の日本語指導教室の担当だったこの教諭は、受け持ちの外国籍の女子児童が「課題の問題がうまく解けなかった」として、持っていたシャーペンの先で児童の手を突く暴力行為をおこなった。またこの事件のほかにも、複数の担当児童に対し、暴言を浴びせるなどの行為も確認された。これらの件で、2012年8月に戒告処分になった。

教諭は事件翌年度の2013年度に、岩西小学校に異動した。2015年には同校で委員会活動の指導中、当時5年の児童が「委員会活動とは無関係なことをしていた」などとして突き飛ばすなどの暴行を加えて転倒させた。児童は転倒の際に、手首を骨折するケガを負った。しかし学校側は一連の経緯を「事故」として扱い、「体罰」とは認定しなかった。この件での教諭への処分はなかった。

そして2017年度の一連の事件が発覚したことになる。

事件のその後

学校側は2017年10月の「体罰」事件発覚後、教諭を担任から外した。一時不登校になっていた女子児童は担任交代後、登校できるようになったという。

愛知県教育委員会は2018年2月9日、教諭を停職6ヶ月の懲戒処分にした。過去にも「体罰」で懲戒処分を受けたにもかかわらず再発したことを重くみたという。教諭は同日付で依願退職した。

刑事処分

愛知県警豊橋署は2018年3月20日、元教諭を暴行容疑で書類送検した。▼2017年10月4日、当時担任していた2年生のクラスで、授業中に女子児童の頭をつかんで黒板に打ち付けた。▼2017年10月27日、別の男子児童を授業用の定規で殴った。――の2件が対象になっている。

名古屋地検豊橋支部は2018年4月27日、元教諭を暴力行為法違反で在宅起訴した。

名古屋地裁豊橋支部で2018年6月14日に初公判がおこなわれ、元教諭は起訴内容を認めた。検察側は「元教諭は教員生活の中で100回近くにわたって暴力・『体罰』をおこない、常習性が認められる。悪質」として、懲役1年を求刑した。

弁護側は、停職6ヶ月の懲戒処分で依願退職したことなど社会的制裁を受け更生の意思もあるとして、執行猶予付の判決を求めた。

名古屋地裁豊橋支部は2018年6月28日、元教諭に懲役1年・執行猶予3年の有罪判決。元教諭の行為を「怒りの感情にまかせた理不尽な犯行」と認定した一方、「すでに教育現場を離れている」「事実を認め反省している」などと判断して執行猶予をつけた。

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