大阪市立此花工業高校「体罰」訴訟

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大阪市此花区の大阪市立此花工業高校(現在は改編や統合で大阪市立咲くやこの花高校)で1989年、実習助手から暴行を受けて抵抗しもみ合いになったことを「対教師暴力」と一方的に決めつけられて停学になり、その後転校を余儀なくされたとして、被害生徒が訴えた訴訟。

経過

1989年11月、製図実習の授業を指導していた男性助手が、1年男子生徒が「自分の指示を無視した」として、手に持っていた授業ノート用のバインダーで生徒の頭部を数発殴り、生徒に左鼓膜破裂のけがを負わせた。

助手の暴行の際、生徒が抵抗してもみ合いになった。もみ合いの際に生徒が一発殴り返したことをとらえ、学校側は「対教師暴力」として生徒を停学処分にした。

単位認定のための補習授業が生徒の停学期間中に実施されたため、この生徒は補習を受講できなくなった。そのために進級が不可能となり、別の定時制高校へ転校した。

被害生徒は「体罰」と停学処分を不当として、大阪市を相手取って訴えた。

大阪市は「『体罰』は軽くたたいただけで、生徒のけがとの因果関係はない」「停学処分は正当」と主張した。

大阪地裁は1993年9月4日、原告側の訴えを一部認めて、大阪市に約40万円の支払いを命じる判決を下した。判決では、「体罰」は口頭での指導に従わなかったためにおこなわれたものだが、けがをさせたのは行き過ぎと判断した。「体罰」と生徒のけがとの因果関係を認めた一方で、生徒が殴り返したことなどを理由として停学処分を正当と判断した。

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