新潟県立阿賀野高校3年だった女子生徒が2010年に自殺し、背景にいじめが指摘された事件。訴訟になったが和解が成立した。
経過
新潟県立阿賀野高校3年だった女子生徒は2010年6月、「臭いと言われ悩んでいた」という趣旨のメモを残して自宅で自殺した。
この女子生徒に対しては、1年の時に体育のバレーボールの授業で強いサーブを打ったことなどでほかの生徒から非難されたり、あだ名や陰口を言われていたことなどが指摘された。3年進級後は自殺をほのめかすような発言もしていたという。
学校側の調査では「いじめは確認できなかった」と判断した。
新潟県が設置した調査委員会は2014年12月、自殺の原因を「閉塞感、孤独感からくる適応障害の状態」として、いじめとは認めない調査報告をまとめた。
調査報告では、体育のバレーボールの授業でこの女子生徒がプレーミスをしたことに対して同級生が悪口を言ったという事実は認めたものの、この案件は「試合に負けた悔しさで発言した」などと分析し、悪口を言った生徒が非難されるようないじめではないとした。
遺族側は「いじめられたから適応障害になったのではないか」と、調査結果に強い疑問を呈した。
人権救済申立
生徒の両親は2011年夏、新潟県弁護士会に人権救済申立をおこなった。
弁護士会は、生徒との残したメモなどの分析をおこなうなどの調査を進め、「あだ名の命名や流布、体臭の指摘はいじめに該当する」と判断した。新潟県弁護士会は2013年3月、学校側へ事実を認め再発防止を徹底するよう勧告書を提出した。
訴訟
生徒の両親は2015年8月18日、学校側がいじめに適切な対応をしなかった・生徒に自殺後も速やかな調査をしなかったなどとして、新潟県を相手取り約2000万円の損害賠償を求める訴訟を提訴した。
2017年12月25日、遺族側と新潟県との和解が新潟地裁で成立した。新潟県はいじめ防止対策推進法上の「いじめ」があったと認めたうえで、独自のいじめ対策をおこなうことなどで合意した。原告側は「再発防止が主目的で金銭が目的ではない」として、和解金などのやりとりはゼロとした。