兵庫県高砂市立中学校「体罰」重体事件

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兵庫県高砂市立竜山中学校で1998年8月、バレーボール部の合宿中、顧問が男子部員の頭にバレーボールを強くぶつける「体罰」を加え意識不明の重体にさせた事件。裁判では教諭の行為と生徒の症状発症との因果関係を認定する内容での和解が成立した。

経過

同校のバレーボール部は1998年8月、京都府福知山市内で合宿をおこなっていた。バレーボール部顧問の男性教諭(当時38歳)は2年生の男子部員に対し、バレーボールを至近距離から生徒の頭部にぶつける「顔面ボール」なる「体罰」を加えた。

生徒は合宿中の1998年8月28日に倒れて意識不明になった。病院に搬送されたが急性硬膜下出血と診断され、脳に重い後遺症が残った。事件以来意識不明の状態が続いているという。

加害教諭は事件後体調不良を理由に休職し、翌年の1999年度より高砂市内の別の市立中学校に異動した。

民事訴訟

生徒の家族は1999年9月20日、神戸地裁姫路支部に2億4700万円の損害賠償を求めて提訴した。

裁判の審理の中で、加害教諭は1988年に「体罰」で兵庫県教育委員会から厳重注意処分を受けていたことや、1990年には当時勤務していた兵庫県高砂市立荒井中学校で女子バレーボール部員4人を殴る暴力を加え1人が「軽い脳しんとう」と診断されたことなど、暴力行為を繰り返していたことも明らかになった。

裁判所は和解を勧告し、2001年9月28日には「高砂市が和解金約1億6000万円を支払う」「市は、教諭の暴力行為が存在したこと、および暴力によって生徒の障害が発症したことの因果関係を認める」などの内容で、双方とも和解の方向で合意した。高砂市議会での関連議案可決を経た後に正式に和解を成立させるとした。

和解案を審議する市議会の中では、高砂市教委が事件について、教諭の暴力行為を「指導の行き過ぎ」と発言して紛糾した。その後この部分については取り消し、市教委は教諭の行為を「体罰」と認めた。

2002年1月23日、高砂市が和解金を支払う・市は同種事故の再発防止を図る・加害教諭は原告側に謝罪する、などの内容で、正式に和解が成立した。

教育委員会からの処分

兵庫県教育委員会は和解成立後の2002年3月28日、教諭の暴力行為・「体罰」を認定し、停職6ヶ月の懲戒処分にした。教諭はその直後に依願退職した。

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