香川県綾川町の中学校に2012年に入学した外国籍の生徒が、同級生から人種差別的ないじめを受け、ケガをした事件。
事件の経過
外国籍の男子生徒は2012年3月に母国から来日し、同年4月に香川県綾川町立中学校に入学した。入学当初は日本語がほとんどできなかったという。
この生徒は入学直後から、同級生の男子生徒3人から人種差別的ないじめを受けるようになった。日本語や英語で「出ていけ」「国へ帰れ」などと繰り返し暴言を受け、雑巾を顔に投げつけられるなどした。2012年5月には、足を蹴られるなどの暴行を受けた。
生徒の家族は何度も学校側に相談したが、いじめが改善することはなかった。
2012年11月、この生徒はこのうちの1人から廊下で足をひっかけられて転倒し、足などに重傷を負った。
生徒側は2013年2月、足をひっかけられてケガをした事件について、同級生を刑事告訴した。
学校側は、「入学当初はちょっかいをかけられることはあったが、指導した。いじめとは認識していない」「11月の転倒事案は事故」という認識を示した。
民事訴訟
被害生徒側は2013年5月21日、足をひっかけて転倒させた生徒とその両親、および綾川町を相手取り、約278万円の損害賠償を求めて高松地裁に提訴した。
一審高松地裁は2016年3月30日、2012年11月に同級生から足をひっかけられて転倒させられた行為については不法と認め、足をひっかけて転倒させた生徒に対して約77万円の損害賠償を命じた。一方で、継続的ないじめや学校側の監督責任などは認めなかった。
生徒側が控訴したが、二審高松高裁は2017年3月23日、一審判決を支持し控訴を棄却する判決を出した。