東京都港区の私立芝中学校で1957年、同校の男性教諭が生徒を殴り死亡させた事件。いわゆる「体罰」で生徒が死亡した事件、また加害教諭が有罪判決を受けた事件は、この事件が戦後初めてとされる。
事件概要
芝中学校で1957年7月5日、3年学級担任で保健体育科教諭・Y(当時25歳)が、担任クラスの教室で学級指導をおこなっていた。
指導中、早く授業が終わった隣のクラスの生徒ら数人が、Yの担任クラスの教室をのぞき込んだ。そのことに激高したYは生徒らを追いかけ、3年生の男子生徒1人を捕まえて平手打ちを数回加え、生徒の頭を壁に数回ぶつけた。さらにYは、生徒に足払いをして倒すなどした。
暴行を受けた生徒はその直後に倒れて意識不明となり、病院に搬送されたが、事件翌日に死亡した。警視庁などは1957年7月7日、Yを傷害致死容疑で逮捕した。
Yは1957年7月26日、傷害致死容疑で起訴された。東京地裁は1958年5月28日、Yに懲役3年の実刑判決を下した。Yは控訴したが、東京高裁は1959年9月29日、一審判決を支持して控訴を棄却、同様に懲役3年の実刑判決とした。