さいたま市立南浦和中学校生徒自殺事件

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さいたま市南区のさいたま市立南浦和中学校1年の男子生徒が2018年8月に自殺した事件。所属していたバドミントン部の顧問教諭の不適切な態度が生徒を追い詰めた「指導死」だと指摘された。

事件の経過

当該男子生徒は2018年4月、さいたま市立南浦和中学校に入学した。入学後にバドミントン部に入部したものの、2018年8月半ばには部活動への不満を家族に打ち明けていた。

2018年8月25日、バドミントン部の顧問教諭(30代男性)から保護者宛に「生徒が部活動を欠席してゲームセンターにいたので、明日呼び出して個別指導する」と連絡があった。

男子生徒は翌日8月26日、部活動に行くといって家を出たのちに自殺した。

学校側の対応

生徒の自殺当日、校長が家族に対し「自殺だと公表すればマスコミが騒ぐ」「保護者自らが保護者説明会で説明することになる」などと発言し、自殺ではなく「不慮の事故」としたいと打診した。家族は突然の事件に気が動転していたこともあり、その場では求めに応じる判断をしたという。

学校は当該生徒の自殺の事実関係を伏せ、死亡は「不慮の事故によるもの」として学校内外への説明をおこなっていた。

学校側はその後調査をおこなうと、バドミントン部の部員から「顧問から『おまえ、存在する意味あるのか』『頭が悪い。運動神経も悪い』などと暴言を受けたり、胸ぐらをつかまれるなどした」「自殺した生徒を含む複数の部員が、顧問から威圧的な指導を受けていた」といった証言が出た。

また、バドミントン部では「部活動を欠席すると校庭を10周走らせるペナルティがあった」という指摘も出た。

顧問教員は、指摘された内容について、「生徒への言い方がきつかったかもしれない」などと話したという。

顧問教諭は2018年度の時点では処分などを受けず、事件翌年の2019年度に別の中学校に異動した。異動先の学校では運動部顧問になったという。

自殺した生徒の家族は、学校側から十分な説明がないことに不満を持ち、また学校側の調査で教諭の不適切行為があったことを知り、第三者委員会を設置しての詳細な調査を求めることを検討した。

遺族が詳細な調査要求を検討していた時期、校長が遺族宅を訪問し、「第三者委員会での調査対象は地域住民に広がり、必ず情報が漏れる」「朝、突然報道陣が自宅を取り囲む」「写真をずるい週刊誌がネットに上げる」「同校に入学予定の生徒の妹にも調査が入る。調査が始まれば妹のことは置いて、生徒のことにかかりっきりになるかもしれない」などと、暗に調査を断念するよう求めると受け取れるような発言を繰り返した。

遺族は一度調査断念の方向に傾いたものの、その後支援者の後押しを受けて思い直し、詳細な調査と事実関係公表を求める方向に転じた。

自殺事件前から問題が指摘されていた

顧問教諭については、2018年4月頃から「部活動の指導が乱暴」などと保護者からの苦情が相次いでいた。2018年5月に保護者会が開かれ、顧問の退任・交代を求める声が相次いだとされる。

また2018年6月には、別の生徒が「この教諭が生徒の胸ぐらをつかむなどしていた」と訴えていた。

校長は顧問教諭に対して口頭注意をおこなっていた。しかし学校側は顧問を交代させるなどはせず、他校への転任が決まった2019年3月までそのまま顧問を続けさせていた。

校長は2020年3月に定年退職し、同年4月以降は市立小学校の学校地域連携コーディネーターに再任用され、学校と地域住民との橋渡し役の業務を担っている。

事件が報道される

2019年7月2日になり、一連の経過がマスコミ報道された。家族・さいたま市教育委員会が同日にそれぞれ記者会見をおこない、事実関係について説明した。

家族側は「教諭の指導が自殺の原因」と訴えた。

さいたま市教育委員会は、学校での調査では生徒の自殺と教師の指導との因果関係を確認できなかったとして、調査委員会を設置して調査をおこなう意向を示した。また当初は自殺を伏せ「事故」としたことについては、「家族側からの同意があった。学校側から働きかけたり強要したわけではない」とした。

その後第三者委員会が設置された。