福岡県中間市立小学校5年だった2004年当時、担任だった女性教諭からいじめを受け、ストレスが原因の病気を発症したとして、被害に遭った女子児童が訴えた訴訟。
経過
福岡県中間市立小学校5年生だった女子児童は2004年、当時担任だった女性教諭から「頭の病気で口がゆがんでいる」「トロい」などの暴言を受け続けた。また、授業中に児童だけが手を挙げ続けるよう仕向けるようないじめ行為もおこなっていた。
児童は同年2月にてんかんと診断され、投薬治療を続けるとともに、学校側に対して生活面での配慮を依頼していた。
同級生が児童の保護者へ「担任教諭がこの児童をいじめている」と連絡したことで、いじめが発覚した。事情を知った保護者は、教諭に抗議した。しかし教諭は「指導」と突っぱねた上、抗議ののちもいじめを繰り返したとされる。
その後教諭は2005年12月、自らの差別的な言動を認めて謝罪したとされる。また学校や中間市教育委員会も謝罪文を出したとされる。
被害にあった児童は、ストレスで一時的に目が見えなくなる・耳が聞こえにくくなる・体の震えが止まらなくなるなどの症状も発症し、解離性障害と診断された。
児童は一時学校に登校できない状態に陥った。また児童の症状は著しく悪化し、一時期入院を余儀なくされた。症状の影響で、中学校3年時点の2008年時点では常時介助が必要な状態になっていた。また中学校卒業後は高校に進学できず自宅療養状態になっていたという。
被害にあった児童と保護者は2008年11月までに、「原因をつくったのは女性教諭だが、ほかの教職員も解離性障害に適切な対応をせず症状を悪化させた」などとして、教諭と中間市を相手取り、慰謝料など約1億5565万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁小倉支部に提訴した。
教諭や中間市は、請求棄却を求めて争う方針を表明した。
福岡地裁小倉支部は2012年3月29日、「いじめがあった証拠はない」などとして元児童側の訴えを棄却した。