熊本県和水町で2012年、町立中学校3年の男子生徒が自殺し、いじめがあったと指摘された事件。
事件の概要
熊本県和水町立中学校3年の男子生徒は2012年7月10日、自宅で自殺した。
学校でのアンケートや生徒への聴き取りの結果、「石を投げられていた」「ズボンを脱がされていた」「蹴られていた」「自殺した生徒はインターネットで女性とやりとりしていたが、その女性の名前でからかわれるなどしていた」など、この生徒がいじめられていたという証言が複数寄せられた。
しかし学校側は「自殺に直接結びつく原因となるいじめは見つかっていない」などと結論づけた。
2013年3月11日、和水町議会で生徒の自殺案件が取り上げられ、事件が明るみに出た。
第三者委員会の調査
遺族は第三者委員会を設置しての調査を要望した。町長は第三者委員会設置の方針を決定し、2013年4月の町議会で設置条例を全会一致で可決したのち、第三者委員会が設置された。
第三者委員会は2014年4月4日に報告書をまとめた。
「授業中に生徒のズボンの中に入った虫を、服の上からつぶした」「集団で押さえつけてズボンを脱がせようとした」「上靴を女子トイレに投げ込まれた」「生徒の自宅に遊びに来た別の生徒が、生徒自室に貼っていたポスターをエアガンで撃って穴を空けた」「あだ名で呼ばれた」など11件のいじめを認定し、学校側のいじめの対応のまずさを指摘した。また町が「いじめはなかった」と早々に結論づけていたことも問題だとした。
民事訴訟
生徒の遺族は和水町に対し、約1100万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こした。
町は2014年12月10日の第1回口頭弁論では争う方針を示したものの、2016年3月4日に和解が成立した。町が「生徒へのいじめがあった」と認め、解決金300万円を支払う内容となっている。