埼玉県川口市立中学校3年の女子生徒が2017年5月に自殺した問題。所属していた吹奏楽部でのいじめが指摘された。
事件の経過
埼玉県川口市立中学校3年の女子生徒は2017年5月5日、吹奏楽部の部活動参加のために学校に向かっていた際、途中の歩道橋から飛び降りて死亡した。
生徒は部活動での人間関係で、2年時の2016年秋から度々学校側に相談していた。保護者も「いじめを受けていると聞いた」としているという。
自殺2日前の5月3日にもこの生徒が「部活をやめたい」と訴え、顧問教諭が引き留めていた。
川口市教育委員会はいじめの可能性を疑って第三者調査委員会を設置した。
元同級生らを提訴
被害生徒の家族は2019年4月、元同級生とその両親に対し、損害賠償約9700万円を求めて、さいたま地裁に提訴した。
さいたま地裁は2023年3月24日、「元同級生が、生徒の私物のノートを捨てたこと」など元同級生の行為の一部をいじめと認め、元同級生側に約33万円の損害賠償を命じる判決を出した。一方で、いじめと自殺との因果関係については認めなかった。
未公表だった第三者委員会報告書が明らかになる
裁判の審理の際に、川口市教育委員会の第三者調査委員会が「この生徒へのいじめがあった」と認定する報告書をまとめていたことが、2019年6月に発覚した。
第三者委員会、市教育委員会とも、報告書がまとまった事実を公表していなかった。市教委は非公表の理由について「被害者家族側の意向」としたという。
調査書では、LINEで「バカ」「ウザい」などのメッセージがあったことなど、元同級生5件の行為をいじめと認定した。また生徒が部活動での疎外感を深めたことが、自死に至った理由だと指摘した。