香川県高松市立屋島中学校で2006年、当時1年だった男子生徒が保健体育科担当の男性教諭から授業中に複数回にわたって暴行を受け、急性ストレス反応などを発症したとして訴えた訴訟。民事訴訟では教諭の暴行を「体罰」と認定した。
経過
保健体育科担当で生徒の学級担任でもあったこの教諭は2006年5月、バレーボールの授業中、男子生徒の首を絞めるなどした。また同年9月には、柔道の授業中に顔面を蹴りつけたうえ、複数回にわたって床に投げ飛ばすなどした。
被害にあった生徒は2006年末頃から体調を崩し、教諭の暴行が原因で発症した急性ストレス反応と診断された。しかし学校側の調査に対して、加害教諭は暴行の事実関係を認めなかった。
また被害生徒によると、加害教諭はほかの複数の生徒に暴行を繰り返していた。
学校側は2007年3月、生徒側の主張と教諭の主張を併記した事故報告書を提出した。教諭は謝罪しないまま、2008年4月に他校に異動した。
民事訴訟
生徒側は「納得できる回答が得られなかった。暴行の事実を認めてほしい」として、2008年7月4日、高松市を相手取って損害賠償を求める訴えを高松地裁に起こした。
高松地裁は2011年1月17日、2006年9月の柔道の授業中に教諭が暴行を加えた事実を認定し、暴行を違法な「体罰」と指摘して高松市に約33万円の損害賠償を命じる判決を下した。一方で証言が曖昧だったなどと判断し、ほかの暴行の訴えや、暴行と急性ストレス反応との因果関係については認めなかった。
高松市は2011年1月25日、教諭の暴行が一部認められ「体罰」と認定されたことを不服として、高松高裁に控訴した。また生徒側も、認定が不十分として控訴した。
高松高裁は2011年7月14日、一審判決を支持し双方の控訴を棄却した。双方とも上告せず、判決が確定した。