岩手県立盛岡第一高校バレーボール部「体罰」訴訟

岩手県立盛岡第一高校(盛岡市)で2008年、バレーボール部員だった生徒が、顧問教諭から暴力行為を受けて不登校となりPTSDを発症したとして、岩手県や当該教諭を訴えた訴訟。一審・二審ともに生徒側の主張が一部認容された。

事件の経過

この生徒は在学中の2008年、バレーボール部の部活動に関する件で、顧問教諭・Sから体育教官室に呼び出され、約1時間にわたって罵倒された。その際に教諭は、カギを投げつける、机を叩くなどの威圧行為も繰り返したとされる。

さらに教諭は通常の練習中でも、生徒に平手打ちを繰り返すなどした。

生徒は不登校になり、またPTSDも発症したという。

生徒は卒業後、岩手県や当該教諭などを相手取って提訴した。一審盛岡地裁では2017年11月10日、カギを投げつけるなどの教諭の行為は「指導として社会的正当性を欠く」などと指摘し、生徒の主張を一部認定して、岩手県に約20万円の損害賠償を命じる判決を出した。一方で教諭の暴力行為・「体罰」とPTSDとの因果関係は認めなかった。

生徒側・教諭側ともに控訴した。二審仙台高裁では2019年2月1日、被害の認定範囲を一審よりも広げる形で賠償額を上積みし、岩手県に約40万円の損害賠償を命じる判決を出した。

高裁判決では、教諭が「お前のような人間が社会を駄目にする」と暴言を吐いたことや平手打ちをしたことなど、一審では認定しなかった部分についても新たに認定して違法性を指摘した。また教諭が一審の本人尋問の際「平手打ちは『びんた』と異なり暴力ではない」などと供述したことに触れて、教諭の言い分を「詭弁だ」と指弾した。一方で、暴力・「体罰」とPTSDとの因果関係については、一審に引き続いて認めなかった。

その後二審判決が確定した。

岩手県教育委員会は二審判決後の2019年3月20日付で、教諭を減給1ヶ月の懲戒処分にした。

当該教諭が起こした別の事件

この事件の加害者教諭は、後年に岩手県立不来方高校(矢巾町)に異動し、同校でバレーボール部顧問に就任した。しかし不来方高校では2018年7月にバレーボール部員の自殺事件が起き、この教諭が当該生徒に暴言を吐くなどして精神的に追い込んだことが自殺の原因だと指摘されている。