「体罰」とは、辞書的な説明では「こらしめのために、身体的な苦痛を与えること。日本の学校教育では、法律によって禁止されている。(三省堂『大辞林』)」とされる。たたくなどの行為だけにとどまらず、廊下に立たせるなども含まれる。
一方で実際には、教師や指導者などが単に感情的に暴力をふるったりいじめ行為をおこなったりするなど、児童虐待行為にすぎないにもかかわらず、加害者や周辺の人物があたかも「教育的指導」かのように装って正当化するため「体罰」の用語を使用することも多い。「体罰」と暴力・児童虐待の間には、事実上垣根はないといっても差し支えないといえる。
「体罰」と称する暴力行為が原因で、児童・生徒が心身に重大な傷を負って問題化する事例も多い。
※当サイトでは、いわゆる「体罰」は暴力そのものであると判断しています。しかし「体罰」の用語であくまでも教育的行為かのように装って加害行為を正当化する者が絶えず、本質が見えにくくさせられている一面もあると認識しています。できるだけ「教師による対児童・生徒暴力」「暴力行為」など実態に即して言い換えるようにしていますが、煩雑さを避ける目的や一般的な用法を考慮して、「体罰」の用語を使用するときはカギカッコ付きで表現しています。
主な事例・年表
(~1979年) – (1980~89年) – (1990~99年) – (2000~09年) – (2010~14年) – (2015~19年) – (2020年) – (2021年) – (2022年) – (2023年) – (2024年)
個別の事例
※一部です。ここに掲載されていない事例は「カテゴリ:「体罰」・対生徒暴力」でも。
1980年代まで
- 芝中学校「体罰死」事件 (1957)
- 福岡県立田川東高校「体罰」自殺事件 (1962)
- 群馬県高崎市立長野小学校「体罰」事件(1965)
- 群馬県榛東村立小学校「体罰」事件(1966)
- 「必殺宙ぶらりん」事件 (1972)
- 水戸五中事件 (1976)
- 福島県三春町船引町学校組合立要田中学校生徒自殺事件 (1976)
- 岐阜県立岐陽高校「体罰死」事件 (1985)
- 石川県小松市立芦城中学校「体罰死」事件 (1986)
- 川崎市立桜本小学校「体罰死」事件 (1987)
- 名古屋市立南養護学校「体罰」訴訟 (1988年発生、1995年判決)
- 群馬県赤堀町立赤堀中学校「体罰」自殺事件 (1989)
- 福岡市立壱岐中学校「生き埋め体罰」事件 (1989)
1990年代
- 「風の子学園」事件 (1991)
- 東京都東久留米市立中学校「体罰」訴訟 (1994発生、1995年提訴)
- 兵庫県龍野市立揖西西小学校「体罰」自殺事件 (1994)
- 近畿大学附属女子高校「体罰死」事件 (1995)
- 奈良県立高校演劇部性的虐待事件 (1996)
- 大阪市立中学校剣道部性的虐待事件 (1996-、2008年発覚)
- 兵庫県高砂市立中学校「体罰」重体事件 (1998)
2000年代
- 福島県郡山市立中学校「体罰」賠償金訴訟 (2001-09)
- 北九州市立中学校「体罰」教師懲戒免職撤回問題 (2003-05)
- 神戸市立御影中学校柔道部熱中症死亡事件 (2005.8)
- 駒大苫小牧高校野球部「体罰」事件 (2005.8)
- おかやま山陽高校「全裸ランニング」事件 (2005)
- 大阪市立田辺中学校「全裸ランニング」事件 (2005)
- 北九州市立青葉小学校「体罰」自殺事件 (2006)
- 愛知県立豊川工業高校陸上部「体罰」事件 (2009-12)
- 大分県立竹田高校剣道部死亡事件 (2009.8)
2010年代
- 滋賀県立野洲養護学校虐待事件 (2010)
- 宮崎県立宮崎商業高校「体罰」事件 (2010-2013)
- 埼玉県立三郷特別支援学校虐待事件(2011)
- 大阪市立桜宮高校「体罰」自殺事件 (2012)
- 愛知県豊橋市立岩西小学校「体罰」事件 (2017)
- 兵庫県宝塚市立長尾中学校柔道部顧問教諭暴行事件(2020.9.25)