いじめ事件に関する出来事を年表形式でまとめています。
2021年
2021年1月
2021年1月3日 兵庫県加古川市立中学校2年だった女子生徒が2016年にいじめを苦にして自殺した事件で、学校側が2015年頃、いじめの存在を示すメモを意図的に廃棄していたことが、マスコミ報道で明らかにされる。また遺族が加古川市などを相手取り約7700万円の損害賠償を求める訴訟を、2020年9月30日付で神戸地裁姫路支部に提訴していたことも明らかになる。
2021年1月6日 福島県須賀川市立中学校1年だった男子生徒が2017年1月に自殺し、背後にいじめが指摘された問題で、遺族が須賀川市と教員2人を相手取り約7600万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が、福島地裁郡山支部で成立。須賀川市が見舞金(金額非公表)を支払う。
2021年1月14日 滋賀県高島市立小学校6年だった女子児童が2016年、同級生からいじめを受けて不登校になった問題に関連して、「学校側の対応に問題があった」として高島市を相手取り約600万円の損害賠償を求めた訴訟で、大津地裁は「学校の対応の遅れはあったものの、関係児童が体調を崩して事情を聴けなかったことや、学校側が仲直りさせようと図っていたこと、保護者間の対立などが重なり、遅れはやむを得なかった」「校内放送で加害児童の声が聞こえてきて児童が再び不登校になったと訴えていることは、放送は児童に向けられたものではなく、不登校の予見性も不可能」として原告側請求を棄却。
2021年1月21日 滋賀県大津市立中学校いじめ自殺事件(2011年)の訴訟で、最高裁は遺族の上告を棄却。一審大津地裁判決から加害者の賠償額を大きく減らし約400万円の損害賠償を命じた二審大阪高裁判決が確定。
2021年1月22日 福岡県の私立高校3年だった男子生徒が2013年11月にいじめを訴えるメモを残して自殺した問題で、遺族が学校側に損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁は学校に対して約2600万円の損害賠償を命じる判決。
2021年1月25日 「茨城県立高校在学中にいじめを受け、2年だった2018年10月に自殺未遂に追い込まれ重傷を負った」として、元女子生徒が加害者とされる女子生徒2人と茨城県を相手取り、約860万円の損害賠償を求める訴訟を2020年11月16日付で提訴していたことが報じられる。茨城県はいじめと認める調査報告書を2019年11月にまとめ、また「学校の対応が不十分だった」として関係教職員への懲戒処分もおこなったが、いずれも公表していないという。
2021年2月
2021年2月 韓国の女子バレーボール代表だった双子の2選手(24歳)が、「約10年前の学生時代にチームメイトにいじめを加えていた」ことが告発される。ナイフを突きつける、悪口を振りまく、金銭を恐喝するなどの行為があったとされる。所属チームやバレーボール協会が事実関係を確認し、当該2選手を無期限出場停止処分。韓国ではこの事件を機に、「スポーツ選手や芸能人が学生時代にいじめをおこなっていた」という被害者からの告発が相次いだ。別のバレーボール男子選手(35歳)も学生時代に暴力いじめをおこなっていたとして告発を受け、引退に追い込まれる。
2021年2月1日 福岡県北九州市の私立高校2年だった女子生徒が2017年に自殺したのはいじめが原因だとして、遺族が日本スポーツ振興センターに対し、災害共済給付の死亡見舞金約2800万円を給付するよう求める訴訟を起こしていたことが同日までにわかった。同制度ではいじめ自殺に対する死亡見舞金を給付することになっているが、センターは「学校・福岡県の第三者委員会ともに、いじめを認定したものの、いじめと自殺との因果関係を認定しなかった」ことを根拠に「いじめが原因の自殺とは認められない」と判断し、給付を拒否した。
2021年2月4日 岐阜県内の公立小学校の教頭が2019年度、いじめ被害を訴えた当時2年の児童に対し、約1時間半にわたって「いじめは思い違いではないか」と繰り返し言い立てるなどしていたとして、岐阜県教委が2020年7月に戒告処分にしていたことが、同日までに報道される。県教委は当該案件を非公表にしていた。当該案件では、学校側の調査では「いじめが確認できなかった」としたものの、その後の第三者委員会調査ではいじめを認定した。
2021年2月8日 千葉県野田市立小学校6年だった男子児童が2019年7月に自殺した問題を調査していた第三者委員会は、調査報告書を答申。「隣の席との間に教科書などで壁を作られる」「プリントを投げるように渡される」「国語の音読の課題でつっかえると、『練習していない』と決めつけられて暴言を受ける」など、この児童へのいじめがあったことを認定する一方、自殺の原因とは認めなかった。
2021年2月8日 兵庫県加古川市立中学校2年だった女子生徒が2016年にいじめを苦にして自殺した問題で、第三者委員会調査に応じた生徒に対して学校側が調査内容を詮索し聞き出そうとするなどの圧力をかけていたことがわかった。自殺した生徒と仲がよかった別の生徒は、友人の死亡にショックを受けた上に、教師から調査内容を問いただされたことでさらに追い打ちをかけられた形で学校に不信感をもち、不登校になり転校に追い込まれたという。
2021年2月9日 沖縄県那覇市教育委員会は同日、2015年度に当時市立中学校1年だった女子生徒へのいじめ事案があったと発表。加害者13人が暴言などを繰り返した。▼生徒側からの被害訴えがあったが対応せず、2016年1月まで放置したこと。▼2年進級時には加害生徒と別のクラスにしたものの、3年進級時に加害生徒のうち1人と同じクラスになり、卒業まで不登校になった。▼不登校の影響で、希望の高校の推薦入試を受験できなかったこと。などがあったとした。
2021年2月17日 大分県豊後高田市立中学校1年の女子生徒が2020年11月24日に自殺し、この生徒へのいじめがあった疑いがあると指摘されていたことがわかった。豊後高田市教委は「重大事態」として第三者委員会を設置し、いじめの有無や自殺との因果関係を調査する方針。
2021年2月17日 熊本県荒尾市立中学校1年の女子生徒が2020年4月の入学直後からいじめを受け、2020年12月に不登校になり自殺未遂していたことがわかった。当該生徒は転校したという。荒尾市教委は「重大事態」として第三者委員会を設置する。
2021年2月18日 大阪府立高校2年だった男子生徒が2016年秋に学校近くのマンションで転落死した事故に関連して、「在学していた高校で当該生徒へのいじめがあった。学校側の対応が遅れた」として遺族が大阪府教育委員会を相手取り約990万円の損害賠償を求めていた訴訟で、大阪地裁堺支部が和解勧告をおこない、大阪府が生徒側に約150万円の和解金を支払う方向で和解することがわかった。府議会で関連議案の可決を経て正式和解となる。大阪府教育委員会の調査では、当該生徒へのいじめがあったことを確認したとした一方、いじめと転落死との因果関係はわからないとした。
2021年2月22日 福岡市早良区の福岡市立小学校に通っていた男子児童が、4年だった2018年からいじめを受け続け、2019年の不登校になり転校に追い込まれていた案件で、福岡市教育委員会の第三者委員会が当該案件を調査し、「学校側が重大事態だとする認識が遅れたために、対応が不十分だった」と指摘していたことがわかった。
2021年2月26日 岐阜市立中学校3年の男子生徒が2019年7月、いじめを苦にして自殺した事件で、岐阜市が訴訟外の協議で遺族側に損害賠償金約1150万円を支払う方向性でまとまったことがわかった。岐阜市議会で関連議案の可決を経て正式に成立する。
2021年3月
2021年3月3日 「所属する運動部で部活動の下級生のトイレを盗撮し、写真をインスタグラムにアップすると脅して雑用などをやらせた」として、兵庫県警垂水署は同日、兵庫県立高校2年男子生徒を兵庫県迷惑防止条例違反と強要容疑で逮捕。兵庫県教育委員会は「いじめと認識している」として対応するとしている。
2021年3月15日 名古屋市教育委員会は、「市立中学校1年の女子生徒が3月9日に自殺を図って死亡した」と公表。当該生徒と保護者がいじめ被害を訴えていたことから、いじめの「重大事態」として調査をおこなう方針。
2021年3月16日 秋田県立能代西高校(2021年4月能代科学技術高校に統合)の農業科1年男子生徒が同級生の女子生徒3人から暴言などのいじめを受けていたことがわかった。被害生徒は2021年1月に教室で倒れ、重度のストレス反応と診断された。被害生徒側は加害生徒とその保護者を相手取り、2021年2月に民事調停を申し立てた。
2021年3月17日 石川県野々市市立中学校1年の女子生徒が2021年2月に自殺していたことがわかった。生徒はいじめ被害を学校側に相談していたという。
2021年3月17日 兵庫県尼崎市立尼崎高校の水泳部で発生した2件のいじめ事件を調査していた第三者委員会は同日、それぞれの案件について調査報告書を公表。「2017年に当時1年の女子生徒が不登校になり転校に追い込まれた事件」「2019年に当時2年の別の女子生徒が不登校になった事件」いずれもいじめを認定し、学校側の不適切対応を指摘。また2017年の事件では、「当時の教頭が、被害生徒の転学届を生徒側に無断で作成し、被害生徒の学級担任でもあった水泳部顧問教諭にも記入を指示するなど、偽造行為をおこなった。このことは、生徒側に『いじめが理由で転校した』と記入させないためのいじめ隠蔽の可能性が高い」などとして、尼崎市教委が2021年2月26日付で、教頭を停職1ヶ月、顧問を戒告の懲戒処分にしていたことも明らかにした。
2021年3月18日 奈良県橿原市立中学校いじめ自殺訴訟(2013年)で、加害者とされた元同級生のうち2人と和解成立。和解内容は非公表。
2021年3月22日 北海道登別市立鷲別中学校1年の男子生徒が2020年6月に自殺し、いじめが指摘された問題で、登別市教育委員会が設置した第三者委員会は同日付で、「所属していたサッカー部で、生徒の体型をからかう、下手くそなどと暴言を浴びせるなどのいじめがあった」「いじめが自殺の一因となった」とした報告書をまとめ答申した。
2021年3月22日 秋田市教委は同日、市立小学校の女性教諭が担任クラスで児童に対して「同級生に暴力を振るうよう煽る」「学級内でクラスの児童に『嫌いな子はいるか』と名指しで答えさせ、名前が挙がった児童を罵倒する」「転校生の児童を教室外に引きずり出し『前の学校の児童は、お前がいなくなって喜んでいるだろう』と罵倒する」など不適切言動を繰り返していたと発表。
2021年3月23日 奈良県橿原市立中学校いじめ自殺事件(2013年)で遺族が起こしていた民事訴訟で、奈良地裁は「いじめがあったとは認められず、教諭の自殺予見可能性もなかった」として、遺族側の請求を棄却。
2021年3月24日 東海大学山形高校(山形市)柔道部で2020年度、2件のいじめ事件があったことが発覚。▼2年の男子生徒が、ほかの複数の同学年の部員から集団で、1年以上にわたり、廊下などですれ違う際などに「バカ」「デブ」「死ね」などと暴言を浴びせられ、SNSで中傷されるなどして心神症状を発症して不登校になった。▼別の1年の男子生徒が、同学年の男子部員から殴られたり理不尽な要求を強制されるなどした。学校側は各事案について指導をおこない対応中だとしている。
2021年3月26日 「2020年度に担任していたクラスで、1年の特定の男子生徒にいじめ同然の人格を侮辱する言動を繰り返した」として、滋賀県教育委員会は同日付で、県内公立中学校の男性教諭(34)を減給処分。▼生徒のマスクがずれているとして、鼻先とマスクをガムテープで固定。▼生徒の嫌がるあだ名で呼ぶ。▼わざと生徒に配布物を渡さない。▼個人発表で邪魔をする。▼筆記具を押したり机を叩く。▼生徒の所属していた部活動顧問でもあった当該教師は、部員全員の前でこの生徒を名指しで罵倒。▼生徒が退部を申し出た際に罵倒――などがあった。
2021年3月26日 大阪府立高校の元生徒が不登校になり背後にいじめが指摘された事案を調査していた再調査委員会は同日、調査結果を発表。2015年3月に当該生徒が部活動の部長になったことに反発してほかの部員が部活動を集団欠席したことや、当該生徒への悪口・暴言などががあり、これらをいじめと認定した。生徒は2015年6月以降不登校になった。
2021年3月29日 広島県立中高一貫校で2019年度、当時中学校1年の男子生徒がいじめを受け転校に追い込まれた問題で、第三者委員会は調査報告書を答申。被害生徒に対して入学直後から「下着を頭からかぶせられる」「暴言」などのいじめがあったと認定した上で、学校側の対応に問題があったと指摘。
2021年3月30日 宮崎市立中学校1年だった女子生徒が2019年1月、学校でのいじめを苦にして自殺を図っていたことがわかった。生徒は教室に入れなくなり別室登校を続けて2021年3月に卒業。第三者委員会が重大事態として調査をおこない、「アナフィラキシーショックに感染するから近づくな」「キモい」などの暴言や、生徒の持ち物を足で蹴るなどのいじめがあったことを認定。
2021年3月30日 八戸学院野辺地西高校(青森県野辺地町)2年の男子生徒が2019年に自殺し、いじめを指摘された問題で、青森県の再調査委員会が報告書をまとめる。学校側の調査委員会はいじめを認定してこなかったが、県の委員会ではいじめがあったと指摘した。自殺についてはいじめも要因の一つとし、生徒をめぐるさまざまな要因が複合したと判断した。
2021年3月31日 広島県立中高一貫校の中学校1年男子生徒が生徒寮でいじめを受け転校を余儀なくされた問題で、広島県教委は被害生徒側に第三者委員会の調査報告の内容を説明。被害者側は「再発防止策が確認できない」などとして謝罪を受け入れず、学校名の公表を求めた。
2021年4月
2021年4月1日 三重大学附属小学校に通っていた兄妹が2020年度、それぞれいじめを受けて不登校になったと訴えた問題で、調査委員会がいずれも「いじめと不登校との因果関係は認められない」とする報告書をまとめたことがわかった。▼兄については複数の児童から傘で足を引っかけられる・携帯電話を奪われて使われたりするなどのいじめがあったと指摘。▼妹については、「腹を蹴られる・会談で押されるなどしたとする訴えについては認められない、仮にあったとしても教員の指導で解決済み」と判断した。
2021年4月2日 静岡県浜松市在住の静岡大学教育学部附属浜松中学校3年だった女子生徒が2021年3月16日に浜松市天竜区で遺体で発見され、そばにいた成人男性が「女子生徒と集団自殺を図ったが自分だけ死にきれなかった」と話した事件に関連して、中学生の家族の代理人弁護士が記者会見し、「当該生徒は中学校入学後にいじめで不登校になりPTSDを発症していた。いじめと死亡事件は因果関係があるとみている」と訴えた。学校側は2021年4月5日、当該生徒の学校生活をめぐる状況について第三者委員会を設置して調査したことについては認めたものの、調査結果やいじめの有無については「プライバシーにかかわることでもあり、またほかの生徒への影響を考えた」として非公表とした。
2021年4月13日 熊本市内の熊本県立高校1年だった女子生徒が2020年度に同級生からいじめを受けてうつ病を発症し、転校に追い込まれていたことが報道される。
2021年4月13日 熊本県立矢部高校(山都町)3年だった女子生徒が2013年4月にいじめを苦にして自殺した問題で、生徒の遺族が同級生と熊本県を相手取り提訴する方針を固めたと報じられる。生徒の携帯電話の記録・学校のいじめ調査内容・同窓会名簿などをもとに、いじめに関与したとする同級生を特定した。当時の学校側や熊本県の調査が不十分だったことも問うとしている。
2021年4月15日 北海道旭川市立中学校2年だった女子生徒が2021年2月に自殺をほのめかしてから行方不明になり、3月に雪の下から遺体で見つかった事件で、生徒の遺族や関係者が週刊誌取材に応じ、「当該生徒はいじめを受けていた」と訴えた。1年の頃に性的行為の強要・加害者グループから川に飛び込むよう強要されるなどされ、PTSDを発症して登校できない状態になり治療中だったという。
2021年4月28日 熊本県北部の県立高校3年だった女子生徒が2018年5月にいじめを苦にして自殺した事件で、遺族が同日付で、いじめに関与した同級生6人のうち4人を相手取り、計約1100万円の損害賠償を求めて提訴した。
2021年5月
2021年5月14日 東京都八王子市立中学校2年だった女子生徒が2018年8月に自殺した事件を調査していた第三者委員会は、当該生徒に対して部活動でのいじめがあったことを認め、またいじめが自殺の引き金になったとする調査報告書をまとめた。
2021年5月17日 熊本県立矢部高校(山都町)3年だった女子生徒が2013年4月にいじめを苦にして自殺した問題で、生徒の遺族が加害者とされる同級生8人と熊本県を相手取り、約8300万円の損害賠償を求めて熊本地裁に提訴。
2021年5月17日 「熊本市立中学校3年だった男子生徒が2014年に自殺を図ったのはいじめが原因。学校側はいじめへの対応を怠った」として元生徒と家族が訴えていたいじめ自殺未遂訴訟で、被害者側と熊本市との和解が成立。熊本市が謝罪する・再発防止策を図る・和解金を支払うなどの内容。市議会での承認を経て正式に成立する。
2021年5月19日 鹿児島県出水市立中学校2年の女子生徒が2011年にいじめを苦にして自殺した事案の訴訟で和解協議がおこなわれ、和解成立見通しになったと報じられる。出水市が和解金(金額は未公表)を支払い、死亡後の調査や対応が遺族の期待に沿うものでなかったことに関して陳謝する内容。「カバンを蹴られたこと・持ち物がなくなったこと」など生徒が同級生からされた行為については和解案の中で言及されるが、その事実がいじめかどうかの評価や、その事実と自殺との因果関係については言及されない見通し。
2021年5月26日 鹿児島市立中学校2年女子生徒が2019年度、同級生からいじめを受けて心因性症状を発症し転校に追い込まれていたことがわかった。市教委は「重大事態」に該当しないとして対応。一方で報道を受け、市長は「当時の対応について再検証の必要があるのではないか」とする見解を示す。
2021年6月
2021年6月3日 兵庫県尼崎市立中学校2年だった男子生徒が2018年に自殺し、「神戸市立小学校6年だった当時にいじめを受け、一度神戸市立中学校に進学したがいじめのトラウマで尼崎市立中学校に転校したが不登校状態が続いていた」と指摘された問題を調査していた神戸市教委の第三者委員会は、当該生徒が小学校6年時にいじめを受けたことや、いじめと自殺に因果関係があることを認定。
2021年6月3日 「千葉市立小学校5年だった2012年度、同級生から暴力などのいじめを受けた。担任教師に被害を訴えたが対応が不適切で、不登校になりPTSDを発症した」として元男子児童が元同級生の保護者と千葉市を相手取り訴えた訴訟で、東京高裁は原告側請求を棄却した一審千葉地裁判決を変更、元同級生のいじめ行為を認めた上で、担任教諭が「被害を言いに来なくてもいい」と対応したことなどを不適切と認定、不登校との因果関係も認めて、千葉市と元同級生の保護者が連帯して約390万円の損害賠償を支払うよう命じる判決。
2021年6月11日 鹿児島市立中学校で2020年度、当時2年だった生徒が同級生から暴行を受け眼底出血のケガを負うなどし、PTSDを発症して転校に追い込まれていたことがわかった。
2021年6月15日 石川県野々市市立中学校1年だった女子生徒が2021年2月に自殺し、背後にいじめが指摘された問題で、生徒の父親が記者会見。いじめがあったと訴えた。
2021年6月18日 群馬県立勢多農林高校2年の女子生徒が2019年2月に自殺し、背後にいじめが指摘されている問題をめぐり、群馬県は同日、いじめ防止対策推進法に基づき、再調査を諮問することを発表した。同案件では2020年11月に調査委員会報告が出されたが、遺族側が「調査が尽くされていない」と指摘し再調査を要望したたことから、再調査方針を出した。
2021年6月22日 福岡県久留米市立中学校3年だった女子生徒が2019年7月に自殺した問題を調査していた第三者委員会は、持病による外見の変化を「気持ち悪い」などといわれるなどの当該生徒へのいじめがあったことを認め「今後も同様のいじめに遭うかもしれないという不安を持つ事に大きく影響を与えた」と指摘した一方、いじめと自殺との間に時間があったことなどから、いじめと自殺との因果関係は認められないと結論づけた。
2021年6月23日 「栃木県下野市立中学校2年だった2019年度に同級生からいじめを受け、学校側の不適切対応で事態をこじらせ長期化・重大化させた」として、被害者の元生徒が下野市に対して約1286万円の損害賠償を求め宇都宮地裁栃木支部に提訴していたことが報道される。提訴は2021年4月21日付。
2021年6月25日 愛知県名古屋市の私立名古屋経済大学市邨中学校1年だった男子生徒が2019年度、「いじめの加害者」として退学勧告を受けていたことが、一部マスコミ報道で指摘された。当該生徒は「調査が不十分で一方的に転学させられ、精神的苦痛を受けた」と訴え、学校側が謝罪と慰謝料17万円を支払ったという。
2021年7月
2021年7月8日 横浜市立小学校で2020年度、4年を担任していた男性教諭がクラスの特定の児童を標的にして「この児童だけ配布物をわざと渡さない」「給食のおかずを二口程度の極端に少なく盛るようほかの児童に指示する」「授業で使用する学校の備品をこの児童にだけ貸し出さない」「学校行事でこの児童だけ役を割り当てない」などのいじめ行為を繰り返していたと、週刊誌報道で指摘される。
2021年7月9日 秋田県立能代松陽高校(能代市)に在学していた女子生徒が、在学中の2014~16年に所属する部活動などで暴言を浴びせられるなどいじめを受け転校に追い込まれた問題で、当時の校長と秋田県教育委員会担当者が被害元生徒側と面会し、対応の不備を謝罪。この案件は秋田県教育委員会としては初めてのいじめ「重大事態」認定となり、第三者委員会がいじめを認定し、また学校側の対応の不備が指摘されていた。
2021年7月12日 佐賀県鳥栖市立中学校に通っていた男子生徒が2012年、同級生から集団いじめを受けPTSDを発症した問題で加害者と鳥栖市を相手取って訴えた訴訟で、福岡高裁は一審判決を一部変更、一審ではいじめだと認定しなかった加害生徒の行為を「いじめ」として加害者の賠償責任を認めたものの、市に対する請求は一審に引き続き棄却。
2021年7月12日 三重県志摩市立文岡中学校3年だった男子生徒が2019年7月に自殺した問題を調査していた志摩市の調査委員会は、生徒へのいじめがあり不登校の原因になったと判断したものの、いじめと自殺との因果関係を否定する調査報告書をまとめ公表した。
2021年7月13日 熊本県荒尾市立中学校1年の女子生徒が2020年、いじめを受けて自殺を図り転校に追い込まれた問題を調査していた市教委の調査委員会は、当該生徒へのいじめ4件を認定した。自殺未遂については原因を特定しなかったものの、いじめの影響が背景にあったと判断した。
2021年7月14日 熊本市立帯山中学校3年だった男子生徒が2014年にいじめを苦にして自殺を図った案件の民事訴訟で、「市がいじめを認めて謝罪し再発防止策をとる。元生徒側に和解金60万円を支払う」内容での和解が熊本地裁で成立した。
2021年7月14日 埼玉県立高校2年の女子生徒が2017年に自殺に追い込まれたのは、交際相手だった男子生徒とその妹(いずれも女子生徒と同じ高校に在籍)がネットで女子生徒を中傷するいじめ行為をおこなったからだとして、女子生徒の家族が相手生徒側と埼玉県を相手取り訴えた訴訟で、さいたま地裁は男子生徒と妹のSNS書き込みを不法行為と認めて約50万円の損害賠償を命じる判決。一方で学校側については「対応に問題はなかった」「自殺は予見不可能だった」などとして埼玉県への請求は棄却。
2021年7月15日 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会がミュージシャンの小山田圭吾氏を開会式・閉会式の作曲担当として起用することを発表したことで、小山田氏が1994年・1995年の雑誌インタビューで、小学生時代から高校生時代にかけて障害者差別的ないじめを繰り返していたことを自慢げに語る内容があったとして批判が巻き起こる。被害者に対して、排泄物を食べさせる、服を脱がせるなど性的虐待をおこない「被害者にとってはなんでもないことだから」と言い放つ、跳び箱の中に閉じ込める、近隣の特別支援学校に通う生徒を笑いものにするなどの行為があったとされ、自分がいじめを考えて手下におこなわせていたともされる。
2021年7月21日 「京都府立学校で2017年10月、別の生徒から腕をつかまれて教室から引きずり出されるなどしてケガをした」と訴えた生徒の事案について、再調査をおこなった京都府教委のいじめ調査委員会が当初の調査委員会の結論を変更し、いじめと認定していたことがわかった。当初の調査委員会ではいじめとは認定していなかった。
2021年7月29日 北海道旭川市立中学校2年の女子生徒が2021年3月に遺体で発見され、背景にいじめがあったと週刊誌などで指摘された問題で、生徒が在籍していた学校に対して「謝罪会見をしなければ殺害する」などと同校職員を脅迫する文書を送りつけたとして、宮崎県在住の容疑者(28)が逮捕される。
2021年7月30日 名古屋市名東区の市立中学校1年だった女子生徒が2018年1月に自殺した問題を調査していた再調査委員会は、「部活動の練習中にほかの生徒から無視されるなどのいじめがあった。自殺との間には関連性があるが直接的な原因とまではいえない。学校側の対応にも原因があった」とする調査報告書をまとめた。当初の調査委員会では「いじめは認められない」としていた。
2021年8月
2021年8月6日 秋田県立能代西高校(2021年4月能代科学技術高校に統合)の農業科1年男子生徒が2020年6月頃から同級生の女子生徒3人から暴言などのいじめを受けて不登校になり、自殺を図り、重度のストレス反応と診断された案件について、秋田県教育委員会が同日までに、重大事態と認定していたことが報じられる。
2021年8月16日 「京都市立小学校4年だった2017年に当時に同級生から嫌がらせを受けて精神的に不安定になり、6年進級時に長崎県の小学校に『離島留学』の形で転校した。元々通っていた小学校の教員からの仲介で加害児童側と面談することになったが、学校側から一方的に責められて謝罪を強要されるなどの不適切対応を受けて適応障害を発症した」として、元児童と両親が京都市を相手取り、約330万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に提訴した。
2021年8月18日 北海道旭川市立中学校2年だった女子生徒が2021年3月に遺体で発見され、遺族が「いじめがあった」と訴えている問題で、遺族の弁護団が記者会見し、遺族の手記を公表。「生徒が死にたいと複数回訴えた」「上級生から夜中に呼び出された」などと家族が学校に相談した際、担任教諭は「思春期だからよくあること」「いじめではない」などと対応したことや、加害者から川に突き落とされた事件の直後には教頭が「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが大切ですか。10人ですよ。1人のために10人の未来をつぶしていいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか。もう一度、冷静に考えてみてください」などと放言したことなどを訴えた。同級生などが情報をもっていれば弁護団に情報を寄せてほしいとも訴えている。
2021年8月18日 北海道旭川市立中学校2年だった女子生徒が2021年3月に遺体で発見され、背後に悪質ないじめや学校側の隠蔽対応があったと指摘されている問題で、旭川区検察庁は同日、「事件報道を受けて2021年5月、不適切対応をしたと指摘された教頭に対して『謝罪会見を開かなければ殺害する』などとする手紙を学校宛に送った」として、脅迫罪で宮崎県都城市在住の会社員男性(28)を略式起訴。旭川簡裁は同日、被告男性に罰金20万円の略式命令。
2021年8月20日 山梨県北杜市立中学校1年だった女子生徒が2017年に自傷行為を図りいじめを訴えた問題を調査していた第三者委員会は同日、悪口を言われる・ボールをぶつけられて笑いものにされるなどのいじめを認定する報告書をまとめ公表した。
2021年8月24日 「福島県会津坂下町立中学校1年だった2014年、同級生からいじめを受け不登校になったのは、学校からの不適切対応も一因となった」として、被害元生徒(不登校状態のまま卒業したのち、2019年1月に自殺)の家族が町を相手取り、約330万円の損害賠償を求めて福島地裁に提訴したことがわかった。提訴は2021年7月20日付。
2021年8月26日 大阪府箕面市教育委員会は「市立中学校で2018年度、支援学級に在籍していた当時1年の男子生徒に対して、同学年の男女生徒16人がたたく・蹴るなどのいじめ行為を継続的におこなっていた。学校や市教委の初動対応に問題があった」と発表。当該生徒は2年進級時の2019年に市外に転校した。
2021年8月26日 「熊本市立中学校2年だった女子生徒が2015年3月に自宅マンションから転落死したのはいじめが原因だ」として、遺族が加害者とされる同級生2人や熊本市を相手取り約7900万円の損害賠償を求める訴えを熊本地裁に起こし、「熊本市が約1100万円の解決金を支払う」などの内容で市と和解が成立する見通しになっていたことがわかった。同級生とはすでに和解が成立しているという。当該案件では第三者委員会で、生徒へのいじめがあったことが認定されている。
2021年8月31日 愛知県は、県内の私立中学校2年だった当時14歳の生徒が2018年12月、いじめを受けて自殺していたことを明らかにし、学校の対応に問題があったとする調査報告書をまとめた。一方で県は生徒の性別や学校名を明らかにせず、当該校も生徒自殺事案を公表していないという。学校側の調査委員会の調査結果が不十分だとした保護者の訴えで、愛知県が調査委員会を設置していた。
2021年8月31日 埼玉県所沢市教育委員会は同日、「市立小学校で2020年度、当時小学校4年の児童に対して、同じクラスだった加害児童1人がすれ違いざまに腹を殴るなどのいじめを繰り返し、被害児童が一時登校できなくなっていた」事案に関する調査結果を公表。6件をいじめと認定し、2件についても「いじめが疑われる」と判断。学校側は加害児童をほかのクラスで生活させる、教室に見守りの人員を常時配置するなどの対応を取り、被害児童は登校できるようになったとしている。
2021年8月31日 大阪市と市教育委員会が共同で2021年春に新設した常設の第三者調査委員会は、市立小学校で2018年度~20年度に起きたいじめ事案1件について「詳細調査」に入ることを決めた。同委員会ではいじめの重大事案があった際に初動調査での聴き取りを経て詳細調査に入る2段階を踏むとしているが、調査事案11件のうち詳細調査への移行は初。
2021年9月
2021年9月13日 東京都町田市立小学校6年だった女子児童が2020年11月、いじめを受けたと訴え、関与した児童数人の実名といじめ被害の内容を明記した遺書を残して自殺していたことがわかった。両親が記者会見を開いて明らかにし、町田市教育委員会に調査を求めた。事件のあった学校はGIGAスクールの推進校だが、端末活用でいじめにつながる不適切な内容があったとして、文部科学省にも状況調査を求めた。
2021年9月14日 東京都町田市立小学校のいじめ自殺事件について、文部科学省は町田市・東京都の両教育委員会に対して状況を聴き取り、対応するよう求める。
2021年9月14日 鹿児島市教育委員会は、市立学校で発生し2021年になって重大事態認定したいじめ事件2案件について、「当時、重大事態と判断しなかったのは適切ではなかった」とする見解を述べた。鹿児島市議会での議会質問に答弁したもの。2018年の市立小学校6年児童へのいじめ案件と、2020年の市立中学校2年生徒へのいじめ案件。
2021年9月16日 北海道旭川市立中学校2年だった女子生徒が2021年2月に行方不明になりその後遺体で発見され、背後にいじめがあったと指摘されている問題で、「遺族を中傷するような明らかに事実無根の内容がツイッターに書き込まれた」として、遺族側が当該書き込みの発信者情報開示を求めてプロバイダに訴訟を起こしていたことがわかった。
2021年9月17日 大島商船高専(山口県周防大島町)1年だった男子学生が2016年5月に自殺し、背後にいじめが指摘されていた問題で、いじめと自殺との因果関係を再調査していた学校設置の再調査委員会は、「話し方を真似される」「学生寮の自室引き出しに卑猥な内容の本を入れられ、窓から投げ捨てると取りに行けと命令される」など学生へのいじめ22件を認定する調査報告書をまとめた。いじめと自殺との因果関係については「苦しみが永遠に続き、抜け出せないと考えて自死した」と指摘した。
2021年9月17日 山形県酒田市立第一中学校で2021年2月12日に1年の女子生徒が校舎から転落して死亡した事故について、学校側が保護者説明会を開いた。「転落は飛び降り自殺と判断したとする警察からの捜査結果が届いた」と伝えた上で、死亡した生徒がいじめを受けていた情報があることを明らかにした。「いじめが自殺の直接の原因ではない」としたものの、今後詳細を調べるとした。
2021年9月22日 「2018年度に入学した中学校で、同級生からの暴力などのいじめを受けた。学校側は被害訴えを門前払いする対応を繰り返した。不登校になり、うつ状態と診断されて転校を余儀なくされた」などとして、静岡県御殿場市立中学校に通っていた元男子生徒が御殿場市を相手取り、約600万円の損害賠償を求めて提訴した。
2021年9月24日 大島商船高専(山口県)で2016年、当時1年の学生が自殺し、同級生からのいじめが原因だと指摘された問題で、大学側は加害者の学生9人を戒告処分にする方針を決めた。加害学生は2021年9月に卒業予定だが、卒業後も継続して指導するとしている。
2021年9月24日 三重県立高校1年の男子生徒が2018年8月に自殺した事件で、被害生徒の遺族が同日までに「部活動の上級生3人と同級生1人の4人からいじめを受けて自殺した」「部活動顧問で学級担任でもあった教諭がいじめを把握していたにもかかわらず適切に対応しなかった」として、三重県と加害元生徒4人を相手取り約7300万円の損害賠償を求めて提訴していたことがわかった。
2021年9月26日 さいたま市立中学校3年の女子生徒が不登校になっているのは、さいたま市立高砂小学校5~6年だった2017年~18年に同級生から受けたいじめが原因となっている疑いがあるとして、さいたま市教委が重大事態と認定して調査にあたっていることがわかった。被害生徒側は「いじめが原因でPTSDを発症した」と訴えている。
2021年9月30日 私立筑紫台学園高校(福岡県太宰府市)3年だった男子生徒が2013年11月に自殺したのは学校でのいじめが原因として、遺族が学校側を相手取って訴えていた訴訟で、二審福岡高裁はいじめと自殺との因果関係を一審以上に踏み込んで認定し、賠償額を一審より増額して約3000万円の損害賠償を命じる判決を出した。
2021年10月
2021年10月5日 山口県宇部市立中学校の女子生徒が2018年度にいじめを訴え不登校になった問題を調査していた同市の再調査委員会は同日までに、生徒への4件のいじめを認定した。当初の調査委員会では2019年に「いじめは確認できない」と判断したが、生徒側が再調査を求めていた。
2021年10月6日 奈良市立小学校で2017年、いじめを受けて不登校になった当時4年の女子児童が「担任教諭から不適切な対応を受けた」などとして訴えた訴訟で、奈良地裁は、いじめ仲裁の際に担任教諭が「うそをついたら先生とキスをする」と発言した行為について、セクハラであり不法行為に当たると判断して奈良市の約11万円の支払いを命じた。教諭はいじめ仲裁の際、被害児童と加害児童を呼び出して仲直りの指切りを促すなとし、その際に不適切発言をおこなったとされる。
2021年10月13日 鹿児島県いちき串木野市立中学校に在学していた生徒が、在学中の2018年以降同級生から繰り返し暴行などのいじめを受けたと訴えていた問題で、市教委の第三者委員会は当該生徒へのいじめ11件があったと認定。一方で当該生徒がいじめに抵抗し反撃したことも「当該生徒による別の生徒へのいじめ」と認定したことで、生徒側は不服を申し立てた。
2021年10月14日 「大阪府枚方市立小学校1年だった2017年、学校で暴言や中傷などのいじめを受けて1年以上の不登校になり、2019年に他市への転居・転校を余儀なくされた」として、被害に遭った男子児童の家族が枚方市を相手取り約180万円の損害賠償を求めて訴えていた訴訟の和解が成立していたことがわかった。市が対応の不備を認め和解金約50万円を支払う。当該いじめ案件では、重大事態として調査し、2020年に「同級生や上級生計6人の言動をいじめと認める」とする報告書がまとめられている。
2021年10月15日 大阪府東大阪市教育委員会は同日、「東大阪市立中学校2年だった女子生徒が2019年1月に自殺を図り、翌日死亡した」事案があったと発表。当該生徒への暴言・悪口や、同級生の持ち物が紛失したときに複数の生徒がこの生徒にカバンの中を見せるよう迫ったなどの行為があったとして、それらの行為をいじめだと判断した。一方でいじめと自殺との関係は「不明」とし、生徒の発達障がいなどの特性に学校が十分対応できていなかったことなどを指摘した。
2021年11月
2021年11月6日 読売新聞が県庁所在地の46市および東京23区と政令指定都市の教育委員会を対象にした取材調査によると、政府のGIGAスクール構想により全国の小中学校に配布された学習端末を使った児童生徒間のトラブルが、2021年10月までに少なくとも14自治体で確認されていたと新聞報道した。うち4自治体はいじめと認知して対応した。
2021年11月8日 長崎県教育委員会は同日、「長崎県立高校で2020年度、当時3年の女子生徒に対するいじめ事案があり、重大事態と認定していた」ことを明らかにした。生徒の靴が切られたり帽子がなくなるなどの事案があり、生徒側が被害を訴えた際に学校側の対応が遅れたとしている。
2021年11月9日 新潟県燕市立吉田中学校の女子生徒が同日朝、学校の校舎3階のテラスから転落して死亡。生徒の自宅からいじめを受けたと訴える遺書が見つかった。
2021年11月13日 アメリカ合衆国ユタ州の小学校に通う、黒人で障がいを持つ10歳の女子児童が自殺。家族は「学校でこの児童へのいじめがあり、学校側に対応を申し入れたが無視された」と訴えている。人種差別的な暴言や「臭い」などと言われるなどしたとされる。教師は、いじめを訴えた被害児童に対して「ほかの児童から離れて後ろに座れ」と指示したともされる。同校の学区では、「黒人やアジア系児童への人種差別を伴ういじめが横行し、学校側も放置していた」とする司法省の調査報告書が出されていた。司法省は「自殺した児童が、人種と障がいを理由にしたいじめを受けていたことを把握している」とコメントした。
2021年11月17日 北海道宗谷管内の小学校で2021年度、1年の男子児童が同級生から暴力を繰り返し受けるなどのいじめを受け、2021年9月に転校に追い込まれていたことがわかった。
2021年11月25日 福岡県北九州市の私立高校2年だった女子生徒が2017年4月に自殺したのはいじめが原因、災害共済給付制度を運営する日本スポーツ振興センターが見舞給付金を支給しなかったのは不当として、同センターに見舞金の支給を求めた訴訟で、福岡地裁は両親の請求を認め、約2800万円の見舞金を支払うよう同センターに命じる判決を出した。福岡県の第三者委員会では、いじめは認めたもの自殺との因果関係は認めず、その決定を基にしてセンターは不支給決定としたが、判決でいじめと自殺との因果関係についても踏み込んで認めた。
2021年11月29日 愛知県弥富市立中学校3年の男子生徒が同級生の男子生徒を校内で刺殺した事件(2021年11月24日発生)に関連して、弥富市教育委員会は同日、「加害者となり逮捕された生徒が2年時、殺害された被害者生徒からいじめを受けていたと、学校がおこなったいじめアンケートで訴えていた」ことを明らかにした。学校側が生徒に指導し、いじめは収まっていたと判断していたという。
2021年12月
2021年12月1日 フランスの国民議会(下院)は、学校でのいじめを犯罪として、いじめの程度と加害者の年齢に応じて3年以下の禁固刑や4万5000ユーロ(約570万円)以下の罰金刑を科すとする法案を賛成多数で可決。被害者が自殺したり自殺を図った場合は、10年以下の禁錮刑にする。2022年2月に上院で可決された場合は成立の見通し。
2021年12月4日 鹿児島市内の鹿児島県立高校1年だった男子生徒が2014年に自殺し、背後にいじめがあったと指摘された問題で、遺族が同日までに、「生徒がスリッパを隠されたことなどで3日連続無断欠席するなどの異変があったのに、学校側が十分に対応しなかった。学校は自殺可能性を予見できた」として、鹿児島県を相手取り約4500万円の損害賠償を求める訴訟を起こしていたことがわかった。
2021年12月7日 長野県長野市立小学校1年だった児童が2014年にいじめを受けその後転校していた問題で、第三者委員会の調査結果(2018年)を不服として保護者が再調査を求め、長野市が再調査方針を固めたと報じられた。
2021年12月7日 「沖縄県糸満市立小学校4年だった女子児童が2015年にいじめを受けたが、学校側が適切な対応をしなかった」として児童の保護者が糸満市を訴えていた訴訟で、福岡高裁那覇支部で和解が成立。2021年1月の一審那覇地裁判決では請求を棄却し、原告側が控訴していた。
2021年12月8日 長野県長野市は市議会質問への答弁で、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」が2013年度の同法施行後、市立小中学校で計15件あったことを明らかにした。
2021年12月9日 「石川県内灘町立小学校に通っていた2011年に学校でいじめを受けたが、学校側が適切に対応せず、精神疾患を発症した」として、被害者の女性が内灘町を相手取り約3000万円の損害賠償を求める訴訟を金沢地裁に起こしていたことがわかった。2022年1月にも第1回口頭弁論が開かれるとしている。
2021年12月13日 「兵庫県福崎町立中学校に通っていた2002~05年に同級生からいじめを継続的に受けた。また当時の担任や校長がいじめを黙認して、被害者の原告側を別室隔離するなどの不適切対応を取った。これらのいじめと不適切対応が原因でPTSDを発症した」として、被害者の男性が加害生徒と福崎町を相手取り約2億円の損害賠償を求めた訴訟で、兵庫地裁姫路支部は加害生徒が原告を転倒させる・追い回すなどの行為を一部認めながらも「PTSDとの因果関係は認められない」「原告側のいうような学校側の対応は確認できなかった」として請求は棄却。
2021年12月15日 「埼玉県川口市立中学校に在学していた2015年当時、いじめが原因で不登校になったのは学校の対応が不適切だったから」として被害生徒と保護者が川口市を相手取って約550万円の損害賠償を求めて訴えていた訴訟で、さいたま地裁は原告側の請求を一部認め川口市に約55万円の賠償を命じる判決。部活動でのいじめがあったとした上で、学校側が重大事態として対応しなかったことと、部活動顧問教師の「体罰」を認定。双方とも控訴せず2022年1月4日に判決が確定。